「えっ光、昨日やっと謙也とキスしたん!?」

朝早い二人きりの部室で光は小さく頷いた
顔を真っ赤にして恥じらう彼女が白石の幼なじみと付き合いだしたのは1ヶ月程前の話である
思ったよりも早い展開と幸せそうな後輩に白石は小さく息をついた

「よかったやないか、うちらも追い抜かされん様にせなな」

白石は笑いながら光の頭を撫でた
するとカチャリと音がして部室の扉が開いた

「おー小石川!聞いたってな!!」

入ってきたのは副部長でもある小石川だった
小石川はロッカーを開きながら光に笑いかける

「よかったやないか」

光もにっこりと微笑み返した
わりかし無表情な彼女だがこの二人の前では頬もゆるむ

「浮かれんのもええけどそろそろ着替えんとあかんでー」

小石川に言われ二人もモソモソと自分のロッカーに向かう

「あれ…どうしたん?赤くなっとる」

ふと白石が隣で着替えていた小石川の首筋をみるとそこには虫に刺されたかのような赤い跡があった
そっとそれに触れようとすると勢いよく小石川自身がその場所を手で押さえた
パシンと小気味よい音に光もそちらをむく
驚いた白石が小石川の顔を見やれば彼女は耳までを真っ赤に染めていた

「銀のバカ……」

小さな声でどこかを睨みつけるように呟いた小石川に白石は上げたまま手持ち無沙汰になったままの手を動かせなかった

「はっ?へ?」

「副部…長??」

小石川が勢いよくポロシャツを被ればそこは隠れてしまう

「うち、先に行って準備しとるわ!」

相変わらず真っ赤な顔でラケットをひっつかむと慌てた様に小石川は部室を出て行った

「ちょ…ほんまかいな」

白石はようやく手のひらを落とした

「いつか…うちらもあそこまでいくんでしょうか…」

ポツリと呟かれたその一言に二人が赤面している間、扉の向こうでは首筋を抑えながらはずかしそうに、けれど幸せそうに微笑む小石川がいた






(一番進んでるのは銀健ってお話。この時点では、謙光→バードキス(1ヶ月)、千蔵→フレンチキス(4ヶ月)、銀健→セックス(1年ちょい)です。銀さんは大人やからなぁ!)