「はぁ…」
バイトから帰って来てベッドに飛び込んだ
晋助と最後に会った日からもう二年たった
あれからずっと、クリスマスに貰った紫の石がついた指輪は私の指で輝いている
会いたい…会いたい…
最近バイトから帰って来てベッドにダイブして、晋助の事を考えながらうとうとするのが日課になってきた
目を覚ましたらあの日みたいに、目の前に晋助がいないかなぁ、なんて思いながら…
目を瞑ったまま、半分夢の中でふわふわしていると、不意にどこからか風が入ってきた気配がした
夢かもしれない。分からない。
曖昧な感覚で眼を閉じたまま呼吸をする
ふわっと、懐かしい匂いがした。…晋助の匂いだ。
優しく髪を撫でられる感触がして、その手は頬に移り、唇を撫でた
「…っ」
夢心地から覚めてみると、そこには晋助がいた。二年前と全然変わってない。
「あ…」
何か言わなきゃと思って体を起こして晋助を見上げると、言葉を発する前に口を塞がれた
スルッと入ってきた舌は歯列をなぞると、しつこく私の舌を絡め取った
キスは微かに苦く、ついさっきまで晋助がタバコを吸っていた事が分かる
「…んっ」
やっと離してくれたと思ったら角度を変えてまた口を塞がれた
やらしい水音と自分の心臓の音が妙に耳につく
行き場を無くした唾液がツッ…と顎の辺りを流れるのがなんだかくすぐったい
何度か角度を変えてキスを繰り返し、息が苦しくなってきた所でやっと開放された
「ただいま」
文句の一つでも言ってやろうかと思ったけど、至近距離で、しかもそんな笑顔で言われたら、文句なんか出てこない
「おかえり」
一言だけ言って抱きしめた
「さて、と」
「え、ちょっ!?」
感動の再会だったはずが、晋助は私をひょいっと抱え上げてドアへ向かう
「は、待て待て!」
「うるせェ…黙っとけ」
落とすぞ。と言わんばかりに私に脅しをかけ、晋助は部屋を出て一階に降りていく
「お母さん、真菜貰います」
「あらまぁ、どうぞ。真菜ちゃんをよろしくね?」
「ママまで何言ってんの!?」
リビングにいた母さんに晋助がそう言うと、まったく驚いていない様子で、母さんは答えた
おかしいでしょ!?一人娘が連れて行かれてるのに!?
誘 拐 的 再 会
「どこ行くのよ!?」
「は?俺んちに決まってんだろ」
隣の家に連れ込まれてリビングのソファーに降ろされ、そのまま押し倒される
ぐっと近づいた距離に心臓が大きく脈打った
「成長したな、お前」
「そう?」
「あぁ」
言いながら晋助は私の首筋に唇をよせた
気づいたら晋助に押さえられて体の自由がきかなくなっていた
(色っぽくなった…)
(…っ。ば、ばか…っ)
2013.02.01 執筆
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