昼休み。友達とお弁当を食べてると、急に女子の悲鳴が聞こえた
ふと顔をあげると晋助が、ずかずかとこっちに歩いてきていた
四六時中保健室にいる晋助が教室にまで上がってくるのは珍しい
「なんであんたこんなところにいるのよ!?」
「は?関係ないだろ」
私に近づいてきて晋助は言う
そうやって私にかまわないで。またからかわれるじゃない
「大体お前がこんなところで飯食ってんのが悪ぃ」
「はぁ?」
「次から俺んとこきて食え」
なんというジャイアニズム。ここまでくるともう治らないんだろう、一生。
「言うこときかねぇと犯す」
「ちょ、セクハラっっ」
顔真っ赤にして必死に抵抗するが、全く意味をなさない
周りの女子の悲鳴がいっそう大きくなった
まったく…こんなセクハラ発言にときめくなんて皆おかしいよ…
「大体ねぇ…」
文句を言ってやろうと口を開いた時。誰かのケータイの音がなった
皆いっせいに動きを止める。だってケータイが見つかったら没収だからね。皆敏感に反応する
誰のだ誰のだ、と言い合っていると、おもむろに晋助がケータイを出した
なんだ先生のかぁ、なんてホッとした様子です話し出す私達を見て晋助は意地悪そうに笑った
「はい…」
電話にでた晋助の声がいつもより色がないのに気づいた
誰から?いや、きっと晋助の表情から晋助のお母さんだ
晋助はお母さんの話をする時、すごく寂しそうな、それでいて安心した様な、そんな表情をする。小さい頃から変わらない
「…あぁ、分かった。真菜も連れて行く」
「??」
突然名前を出されて驚いている間に、晋助は電話を切った
それから私に視線を移し、一言
「帰る準備しろ」
「え…う、うん」
普段だったら食ってかかるところだけど、お母さんとの電話の後だったから…何かあったに違いないと思った
だから、何も聞かずに帰る準備をして、晋助の後を追って教室をでた
「ねぇ…何かあったの?」
晋助の車に乗った後に恐る恐る聞いて見た
晋助は息を吐いて静かに言った
「親父が…」
突 然 の 訃 報
(倒れたらしい)
(助からないだとよ)
2013.02.01 執筆
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