「…なんですか」


「え?」


「え、じゃないです」



放課後の図書室で勉強してる途中

ふと視線を感じて顔をあげると、そこには銀八先生がいた


特に話し掛けるわけでも無く、そこにいてずっと私を見つめてくる

痺れをきらして問えば、問い返されるしまつ



とりあえず、どうしようもないので再び私は教科書に目を通し始める

ノートにシャーペンを走らせ、教科書のページをめくる



静かな図書室ではよく音が響いて、すぐそばにいる先生の息遣いまで聞こえる

先生のいつもの苺の飴のにおいがして……



「!」



先生が気になってしかたなくて視線をあげると、なぜか先生が身を乗り出してぐっと顔を近づけていた

苺のにおいがするのも当たり前だ


目が合って、思わず目を反らす

クスッと先生が笑うのがわかった



「真奈美」

「…っ」



耳元で名前を呼ばれ、ピクッと体が反応する

絶対わざと耳元で呼んでるっ


カァっと耳まで赤くなって黙っている私に、先生は意地悪をする



「真奈美ってば」

「−−っ」



今度はもっと耳元の近く、息がかかるくらい近くで言われた


熱くて、ドキドキして、変になりそう



「こっちむいて…?」


「〜〜っ」



耐え切れなくなって恐る恐る顔をあげると、勝ち誇った様に先生が笑っていた





一緒に帰ろう



(そ、それが言いたかったんですか…?)

(なに?キスでも期待してた?)

(先生のばか!!)




2012*03*06 執筆



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