私の制服が紛失してから数日後。先生が新しいものを用意してくれた。

なんだか申し訳ない気もしたが、断ったところで、どうしようもなかったので、ありがたくいただくことにした。



あれからもよく物が無くなる。

私が無くしたり、忘れてるのではなく、誰かに取られているのだと確信している。



今までこんなことなかったのに、私、誰かに嫌われるようなことしたかな…


なんでだろう…今まで仲が良かったみんなが、なんとなく怖く感じる

人間不信になりかけてるのかな…生徒会長がこんなんじゃ…ダメだよね





気持ちを切り替えて教室に入ろうとすると、中から九ちゃんが出てきた

ぶつかりそうになって驚いていると、九ちゃんも私を見て驚いて、動揺した



「真奈美…ちょ、ちょうどいいところに…今から売店に行くんだ、ついてきてくれないか…?」


「う、うん…いいけど…」



私が返事をすると九ちゃんは私の腕をぐいぐい引いて歩いた


なんかおかしい。何かを隠してる。

九ちゃんまで私に何か隠し事?



やだな、私。九ちゃんまで信じられなくなりそうなんて…

気持ちを切り替えたはずなのに





***




「お前らー、何騒いでんのー?」


「せ、先生…」



いつもよりちょーっと早く教室に行ったら、男子生徒らが真奈美の机の周りに集まっていた

手にはティッシュや雑巾



俺がいつもより早く来たのが予想外だったのか、一瞬慌てた様子だったが、急にホッとしたような顔をした



「実は安藤さんの机が…誰かのいたずらで汚れてて…」


「''いたずら''?ふざけないでよ!こんなことされて…もし生徒会長が知ったら!」


「許せない…誰よ…安藤さんにこんなことして…」




生徒ら全員に怒りの表情がみてとれた

何で汚れていたのかは、微かに残る香りで容易に想像できた



制服盗んだ次は机か…まじでやばい奴だな…




「とりあえず、真奈美は知らないんだな…?」


「はい、教室に入る前に、売店に連れて行かせました」



なるほど。こいつらも、こんな事件があったら動揺しただろうに…真奈美を守るために行動をとった…

真奈美はこんなにも周りから好かれてるんだな…




「お前ら処理が甘い。ほら、窓開けて換気しろー。生臭いだろーがー。」


「はーい」




生徒が窓を開けて換気を始めて少し経った頃、真奈美達が教室に入ってきた



「お、真奈美おはよう」


「おはようございます。先生、今日は早いですね」




今朝、教室であったことを知らないであろう真奈美はいつも通りにっこり微笑んだ

つられてクラス全員が微笑む



「早く真奈美に会いたくてー」



「先生またそうやって生徒会長にセクハラするー」

「俺たちの生徒会長だぞー」

「そーだ、そーだー!」



「なっ、お前らなぁ…」





俺らのやりとりを見て真奈美は笑う



俺だけじゃなく、クラス全員が、真奈美の笑顔が大好きだ

生徒会長としての真奈美からは見ることができない、普通の女の子の笑顔



この笑顔を守るために、俺たちは真奈美に小さな隠し事をすることにした







ストシークレット




(真奈美にバレる前に)
(必ず犯人を捕まえてやる)









2015.05.11 執筆



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