今日の私は調子が悪い
しかし、具合が悪いわけではない
「あれ?…ないなぁ」
ちゃんと持ってきたはずのお弁当が無かったり、ノートが無かったり、さっきまで使ってたはずのシャーペンがなくなったり…
お弁当やノートは、もしかしたら家に忘れたのかもしれないけど…
シャーペンは使ってたのに…
こんなにモノを無くすようなことはなかったのに…
疲れてるのかな…
「真奈美、次体育だぞ」
「うん、行くよ」
九ちゃんに呼ばれてとっさに笑顔を作る
考えすぎかな。こんな日もあるだろう
そう思って体育の授業へ向かった
***
「なくなってる…」
体育が終わって更衣室に戻ると、制服がなくなっていた
これはもう、忘れたとか、無くしたとかいうことじゃない
完全に誰かに盗られたんだ…
「大丈夫、僕も一緒に探すよ」
「ありがとう、九ちゃん」
九ちゃんと手分けして探す
でも更衣室にはどこにも無かった
「どうしよう…」
「とりあえず教室に戻ろう。帰りのHRが終わったらまた探そう」
「うん…」
体育は今日最後の授業だったので、この後は帰りのHRが待っている
といっても、挨拶をして終わりなんだけど
体操服のまま教室に入るのはなんだか恥ずかしかったけど、仕方がない
九ちゃんに続いて教室に入ると、やっぱりみんなの視線が私に集まった
先生の視線も例外ではない
「え?真奈美どうした?」
「えっと…制服無くしてしまって」
制服を無くすなんて変だなぁと思いながらも、そう言うと、先生は少しだけ顔を曇らせてから、いつもみたいに笑った
「よし、お前らー、明日もちゃんと学校に来いよー。じゃあ、解散」
いつもの様にゆるく挨拶をすると、みんな一斉に教室から出て行く
ある程度生徒が捌けたのを確認してから、先生が私達のところへ近づいて来た
「制服無くなったって、体育の後か?」
「はい。更衣室に置いてあったんですけど…探したけど見つからなくて」
「そうか…じゃあ銀さんも今から探しましょうかねぇ」
ぽんぽんっと私の頭を軽く撫でると、先生は白衣を翻して教室を出て行った
「私達も探そう」
「うん」
先生に続いて、私達も捜索に出かけた
***
真奈美の制服が無くなったってきいたから、女子からのイジメかと思ったら…
「…チッ」
真奈美の制服を見つけて、盗んだ相手への怒りで舌打ちをした
女子が入れるところは真奈美達が探すだろうから、俺は男しか入れないところを先に探そうか…と軽い気持ちで探して回った男子トイレの個室にそれはあった
女子のイジメで隠されるとかの方がまだ可愛げがある
これは許せない
見つけた真奈美の制服は、男の出す白いモノで汚されていた
「はぁ…」
とりあえず、このまま真奈美に制服を返すわけにはいかないよな…
真奈美に好意を抱く男は何人もいる
高校生の男子だ。真奈美をオカズに抜くことがあっても、仕方がないといえば、仕方がない。
ただこれは、女子の更衣室に忍び込んで、盗みまで働いてやがる…
放っておいたら危ないんじゃないか?
真奈美に直接危害が…
いや、あまり過保護になり過ぎちまうと、真奈美に嫌がられるし…
だいたい、仮にも、教師が…生徒に…本気でとか…マジでないな
紛失多発
(さてと、この制服はどうしたもんか…)
2015.05.06 執筆
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