少し震える足と真新しい黒いローブ。まわりの組み分けされるために列をなした新入生たちは自分より四つとか年下で。どの寮になるかわいわいがやがやと楽しそうな周り。私はどきどきしすぎて足が棒のようだというのに。

転入生ということから最後に組み分けがなされるというのは事前に聞かされていたがだからって安心というわけではない。私は組み分け帽子の乗る椅子の一番近くに立っていた。だからこそ囁くような組み分け帽子の思考する声が聞こえる。

「エレン・イェーガー!!」「はい!」

期待に満ちた緑色の目をした少年が胸を張って組み分け帽子の乗せられた椅子のほうへと歩いていく。同じ学校に入る、ということだけは変わらないのにどうしてこんなに違うのか。
帽子は彼の茶色い髪に触れた瞬間に「グリフィンドーーーーーール」と帽子が叫んだ。
それは四つ寮があるうちの赤いひとつを意味していて彼は歓声が沸き起こる一つのテーブルへと駆けていき新入生のために開けられた椅子へと座る。

「ミカサ・アッカーマン!!!」「はい。」

凛とした声が私の後ろから聞こえ反射的に私は道を開けた。すぐ横を通って椅子まで歩いていく彼女はさらり、と流れるような豊かな黒髪を持ち、背は同世代の子たちよりも高い。
思わず見惚れるような姿で後ろにいる少年からもごくり、と生唾を飲む音が聞こえてくる。

先ほどとは違い組み分け帽子は少し思案しているようだった。

「ふむ……そうだな、君はイェーガーのためならどんなことでもする狡猾さがある。よしスリz「エレンと一緒じゃなきゃ嫌」…グリフィンドオオオオオオオオオオオル!!!!!!!!!!」

ジロリ、綺麗な顔にそぐわぬ鋭い目で帽子を睨む彼女、ミカサさん。
帽子は怖気づくように叫び声をあげた。先ほどと違って少しだけ震えるような声なのは気のせいだろうか。
彼女はその組み分けに満足したように颯爽と歩き先ほどの少年の隣に座った。こんなこともあるんだ、そう茫然としているといつの間にか組み分けは終わっていたらしい。

最後に私の名が呼ばれ、私は椅子へと歩いて行った。皆が私に注目していて足が震える。
がくがく足が動くけれど椅子までどうにか座る。座っても膝ががくがくと震える。転校ごときで緊張なんて馬鹿みたいなのに。
帽子が頭に乗せられた途端、頭の上で動く気配が感じ話しかけてくる。

「名前苗字。」「はい。」「君の入る寮はもう決まっている」

だったら何故帽子をかぶった途端に寮の名前を叫ばないのだろう。疑問に思いながらも私はしずかに聞いていた。

「君は寮でもその外でもいい出会いをするだろう」「は。はあ」

すう、と私は息を吸った。

「グリフィンドーーーーーール!!!!!!!!!!!!!!!!!」

わあ、と湧き上がる歓声。転校生は俺らの寮だ!という声。どきどきとそう高鳴る胸。私を受け入れてくれる拍手に私は泣きそうになった。

帽子を置くときに聞こえた「ホグワーツへようこそ。名前苗字。」というその声に私はにっこりと笑って帽子を椅子へと優しく置いた。
私を受け入れる大きな机へ向かうために。






ようこそホグワーツ




隣の大机からこちらを見つめてかぼちゃジュースを一口飲む金髪の男性に私はまだ気づかない。






mae ato