同期が大切だった。同じところで寝起きして訓練して脱落しないように励ましあう。そんな仲間たちが大切で、三つの兵団に別れた後も定期的に会う約束を重ねてきた。
壁外調査のたびに減っていく調査兵団の皆。扉を開ける金髪が見えるたびに安心したような息が漏れる。

「やっぱり、減ったね」
「トロスト区奪還作戦で多くの兵を失ったんだしょうがねえな」

豪快にビールを飲み干すナイルはいつの間にか憲兵団師団長になっていて一方穏やかに笑うエルヴィンは調査兵団団長になっていた。性格も何もかもばらばらだけど好敵手だった二人だから当然といえばそうだけれども。そんな私は二人とは違って駐屯兵団に所属している。壁の上から見下ろす大きな巨人(巨人は大きくて当たり前だが)をみてエルヴィンはあんなのと戦ってるんだと背中が寒くなる。

「おいエルヴィンお前明日は壁外調査じゃねえのか」「ああだから酒は入れてない、そろそろ失礼するとするよ」

エルヴィンがゆっくりとジョッキを置いて立ち上がって、ドアの方へと歩いていく。やだ、待って。慌てて席を立ちあがりドアを開けるとお酒も飲んでいて足元が覚束ない私は少しそこで立ち止っていたらしいエルヴィンと衝突する。支えられた手が触れた部分が急激に熱くなった気がする。
「どうした、名前」
「あのっ…あの、エルヴィン…死なないで。また会おうね」

死なないで、って当たり前の言葉とは思ってた。だけれどもこれがどれだけ重い言葉かは仲間が少なくなるごとに分かるようになっていった。
エルヴィンは微笑んで私の頭を撫でて去っていく。それが私の心をどれだけ乱す行為か知っているくせに。





次の日、エルヴィン率いる調査兵団は壁外へと出た。門を開けるのは私たち駐屯兵団。調査兵団が疲弊して帰って来た時にどれだけスムーズに帰ってこれるかも私たちにかかっている。蝋燭が燃えて蝋が垂れる。マントにくるまって辺りを見渡してもいまだなにも見えない聞こえない。
「変わるから名前寝ろ。」「なんで、ナイル」
どっかりと私の横に座りこんだナイルは珍しく煙草を燻らせていてなんだか急に老けたような気がした。

「お前の部下に泣きつかれたんだ、非番なのに休まねえってな」
「休めるわけ、ないでしょ」

エルヴィンはいま戦っているというのに。命を賭して戦っているというのに。
どうやったら寝れると。どうやったら考えずにいられると。

「変わんねぇな」
「そうそう人は変われないのよ」

三人で訓練していたのは何年前だったのか。あの時初心な恋心に火をつけた私の心。
もう何年もたっているというのに火はゆらゆら揺れてそれでも消えることはない。
ぱから、と軽快な音がした。馬の、足音。

「開門!!!!!!調査兵団の帰還よ!!!!はやく!!!!!」

門の上についた大きな鐘を鳴らすとそれ越しに太陽があがるのが見えた。
そして帰還する兵士の一番前には待ち望んでいたきらきらと朝日が反射して光る金髪。






燃え続く太陽







よーこさまリクエストありがとうございました…!
ナイルのキャラがいまだつかめずどんなキャラなんだろうなあとふわふわしたイメージのまま書いてしまいましたがいかがでしょうか…
楽しんでいただけたら光栄です。この度は本当にリクエストありがとうございました!!