かつかつこつこつと鳴るローファー。桜並木の下のベンチで卒業アルバムを眺めていた私は足音を聞いて顔をあげた。

「綱吉、」

三年前にみたベージュのブレザーに証書をかかえるように持った彼はいなくて。
あの頃より遥かに背が伸びた彼は黒い学ランに証書をにぎっていた。

「いつ、イタリアいっちゃうの?」
「明日発つことになっちゃったよ」

ランボが母さんと離れたくないってずっと泣いててさ、とため息をつく綱吉。
このねくもりが海の向こうにいってしまうんだと思うとなんだか胸がすーすーした。
置いていかれることは知っていた、だけど置いてかないでと泣くほど子供ではなかったし寂しいと素直に言えるほど大人でもなかった。

「・・・そっか、」

私にできるのは力強くなった彼の手を握ることだけ。それでも4年間付き合っている彼はわかるのだろう。綱吉は目を細めて私の頭をぽんぽんと撫でた。

「泣くなよ、」

泣いてない、というはずだった声は涙をこらえるために消えた。なんでこんな感傷的になってしまうのだろう。心配かけさせたくない、笑顔で見送りたいのに。

「綱吉、好き、すき、」

泣きそうになりながら愛を伝えるなんて。
まるで依存対象に愛されたいがためにする行動みたいでなんだか悲しかった。
綱吉はあたりに人がいないか確認して私を抱きしめた。泣いているのを抱きしめて慰めるなんて昔の彼ならできなかっただろう。
でもあたりを見渡すなんだか情けない顔は昔のままで笑ってしまう。

「綱吉、私たちなんだかすごいかわっちゃったね、」
私はただの大学生で彼はマフィアだなんて世界が違すぎておかしいね。ほんとうならこれが別れ時なのかもしれない。いっそだんだん変わってしまえばいい。
ただ願わくば君と一緒にいたいだなんてこんな考え卒業しなければと思「名前、俺、迎えにいくから。」
そう言われてああ同じことを考えているのかなと思う私はとても幸せだと思った。


花びらの底へ落下、ばいばい
(ただまたどん底で会いましょう)




11月、リボーンがついに連載終了したときに書いたもの。中学に入ってはまってから夢も書いたりリボコンいったりコスプレもしたり、さまざまなことを復活関係でやらかしました(笑)
彼らとは六年間ほど一緒に成長させてもらいました。
でもまだまだ私は彼らといたいから書き続けていくんだと思います。