いつもの着慣れたジャンパーを羽織り、マフラーを巻く。
「リリー準備できた?」

振り向くと彼女の赤毛によく映えるチョコレート色のコートにクリーム色の手袋をつけてにっこりと笑うリリー。いつもより上品に巻かれた髪は頬のところがぴょこぴょこしている。

いこっかと笑って手を繋いで談話室へ降りていくと暖炉の近くの特等席に腰掛けている見慣れた四人。

「リリー!かわいいよすっごいかわいい!」

朝早く起きたのだろうか椅子にぐったりとしていたジェームズはリリーを見つけると起き上がりいつものように髪をくしゃくしゃとさせた。

「じゃあ名前またね」
「うん、夕食で会おう」

大好きな親友とその彼氏は手を繋ぎながら談話室の穴を潜って出ていった。
穴を潜るリリーを支えるジェームズの仕種からなにもかもが愛されているんだと感じる。

見送る私の目に影がさしたのだろうか。リーマスがぽんぽんと私の肩を叩いた。
「私ホグズミート行くのやめるわ」
「なんで?」

リーマスが尋ねる。彼はきっとホグズミートに着いたらまずハニーデュークスに行くのだろう。シリウスは女の子と行くのだろうか椅子から微動だにしない。

「んー人狼のレポート終わってないし。」
「リーマスのを見ればいい。あれはO・優だな。」

ニヤッと笑うシリウスに不謹慎だと睨んだ私にリーマスはにっこり笑ってシリウスの言葉に同意した。

「三本の箒でバタービール奢ってよね」

はあ、とため息を吐いてリーマスについていく私はなんとなくあたたかい気持ちに包まれた。




「だってリリーはあんなにかわいいのに!ジェームズなんて!」

あんなにかわいくてほんと名前の通りお花みたいでなのにすっごい頭よくて、ジェームズなんて鳥頭みたいのと付き合っちゃうのよ?ずるくない?
それでいて私はリリーとホグズミートにいけないし、帰ってきたらのろけられるのよ?ひどくない?

そんな私の愚痴ににこにこ笑いながらハニーデュークスで買ったチョコを囓るリーマス。

(うわっバタービールにチョコいれた!うええ)

「でも名前、気付いてる?」

「へ?」


「リリーがジェームズのこと話すのって名前だけだよ」










比較的はやく帰ってきた私たちとは反対に私の愛しのリリーとジェームズはなかなか帰ってこなかった。

外は寒かったらしくリリーの頬はぴんくに染められている。

「リリーおかえり。」

私はにこりと笑った。
リリーの手を握って夕食に向かう。これが一番の幸せだ。






花束とチョコレート







リリー生まれてきてくれてありがとう。
大好きです。ただ落ちを見失った。