「肋角さん、任務終わりました、」
「ご苦労だった。」

獄卒の仕事はなにも亡者を捕まえるだけじゃない。本当に今日の仕事は楽ですぐに終わった。明日は休みだからほぼ二日休みだ。
こつこつとローファーが鳴る。茶色い木目の廊下は普段歩きなれた、見慣れた色。

「ああ、名前、お疲れ」
「佐疫、今から仕事?」

いつも通り外套を羽織った佐疫とばったり出会う。そういえば一緒に仕事したことはないのによく話しかけてくれる。柔和な印象の彼らしいことだが。

「田噛知ってる?今日休みだと思うんだけど」
「休みだよ。…多分また部屋で寝てるんじゃないかな、」

田噛の面倒くさがりは今に始まったことじゃないけれど四六時中寝てるといったのも困りものだ。そういった風に呆れた顔をした佐疫と手を振って別れて私は上に上る階段をかけあがる。ちょっとだけ気分がよくなった。もちろん顔色が悪いのは全く変わらないはずだけど。


「おー名前じゃん!!」「ひ、らはら、」

なにしてんのー?わざわざ男子寮にくるなんてさーほんとは入っちゃダメなんだろー?
と愉悦げな笑みを浮かべるのは平腹。正直ばったり出くわすのには一番厄介な相手だ。

「あーお前また田噛のとこいくんだろー」
「そうだけど!もう急いでるから行くね平腹、ばいばい、」

今度は俺ともあそぼーな、とか言ってくしゃりと笑う平腹は私と田噛が何をしていると思っているのだろうか。ああ、もうめんどくさいなあ。




「たがみー、」

ドアをノックしないでそのまま開けるとベッドに寝転びながら小さな本を読んでいる彼の姿が目に入る。たしかに、本当にに寝ているけれど。
ベッドに腰掛けて覗き込むと綺麗なサンストーンの瞳と目が合う。
サンストーンって心の余裕を生むとか言われているけど面倒くさがりなこいつには余裕なんてあるようには思えないけれども。

そっと田噛の長い睫毛が伏せた瞬間に冷たい唇にキスをした。

「なんだよ、」
「んーなんかさみしくなっちゃって」
「きめえ」

クク、と笑う田噛が可愛くて再度口付けて抱き付くと抵抗はしない。多分めんどくさいんだろうけど。

「めんどくさいんならおとなしくしてて」

全部、私がやるから。そういって部屋着を脱がせる。
ひんやりとした太腿の内側にちゅ、とキスを落としてまわりを舐めていって、田噛がぴくり、と少しだけ反応したのに気分を良くするとぺろり、と舐めたりはむはむと咥えるようにしたり。ふふ、たのしい。
そう思った瞬間私の胸元の赤いタイが引っ張られ田噛が噛みつくようなキスをしてくる。
唇が触れるか否かの距離で鋭い眼光を向けられる。

「おこってる?」
「おこってねえから黙ってろ、」

もう一度田噛の犬歯が当たるかのようなキスをされて力が抜けた。ぐるり、と視界が回転して柔らかい枕へと押し付けられてセーラー服が脱がされる。
大柄ではないがやっぱり男の人だなあ、っていう締まった体に抱き付いて私はそっと目を閉じた。





仕掛けるマリア









セーラーを着ているのは製作者さんのブログの獄卒乙女たちから。