酷く悲しい物語を読んだ。悲しさを飲み込むようにベッドに寝転びながら一気に読んでしまった。そのまま涙で枕を濡らして眠りについた。
少し寒くて目が覚めた。寒い、と思った瞬間ふわり、とタオルケットがかけられる
。
「エルヴィンさん、」
「今日はずいぶん休むのが早かったようだね。」
彼は今日は友人と出かけるといっていて、だから私服だった。
シンプルなポロシャツにチノパンを履いたエルヴィンさんに私は手を伸ばした。
どうした?、と疑問げに手を握ってくれるエルヴィンさんに胸がぎゅう、となって私はその掴んだ手を引っ張った。
「…名前?」
お願い、一緒に寝て。そういうとエルヴィンさんはため息を吐いて私の手を離した。
あーあ、と名残惜しくもベッドに潜りなおすとエルヴィンさんもごろり、と転がった。
予想に反したが嬉しくて私は寝返ってぎゅっ、と抱き付いた。
「…タバコの匂いがする」
「ナイルのだな。」
へへ、と笑ってナイルさんのタバコの匂いがするーとポロシャツ越しにぺちぺちと叩く。
眠いんだろう、はやく寝なさい。そういうエルヴィンさんが差し出した手に私は指を絡めて私はそっと目を閉じた。
すこしだけ痛い目を擦って私は目を覚ました。
焦げるようんあ匂いがしてベッドから慌てて飛び起きる。
「エルヴィンさん??!!!!?」
「ああ、おはよう名前」
困ったように眉を下げるエルヴィンさんの手元には真っ黒な物体の乗ったフライパン。
「わーなに??たまご??」
「本当は全部つくってから起こしたかったんだけどな」
コーヒーはうまく淹れれたよ、というエルヴィンさんにコーヒーはいつだってうまいじゃない、と返して私は新しいフライパンをだしてバターをいれて火をつける。
後ろからふんわりと被さるように抱き付いてくるエルヴィンさんに私はふふ、と笑って卵を投げ入れた。
エルヴィンさんが美味しく淹れてくれたコーヒーにトースト(エルヴィンさんがちょっと焦がした)と私が炒った卵にソーセージ。穏やかな遅めの夕食に手を合わせてくだらないこととかを話すのがとても幸福だった。
幸福な朝食