※短い


仕事で疲れた肩をぐるりとまわして鞄の外ポケットから鍵を取り出すとかちゃりとまわした。綺麗に磨かれた黒い革靴の紐を解いて脱ぐと背後のすりガラスからパタパタとスリッパの跳ねる音が聞こえる。

「おっ…おかえりなさい。ご、ごはんにする?おふろっ…っ?」

白いレースのついたエプロンを身に着けた名前がか細い声でいう。そのエプロンの下はいつもの彼女のお気に入りの桃色のフレアワンピースでもボーダーのペンシルスカートでもない。滑らかで艶のあるエルヴィンよりも白い肌色。
その肌色はなにも腕だけでなくエプロンからのぞく脇もすらりと伸びた足もである。
頬はまるで林檎のように真っ赤。

「そっそっそれともももっ…わっわたしっ……っ?」

唇を噛みしめてエプロンをぎゅっと握りしめた彼女に「見えるぞ、」と声をかけると真っ赤な頬に目を吊り上げて顔を上げた。その顔を両手で挟んで軽く二回キスを落とすと反射的に閉じた目とその顔がなんだか不細工で可愛らしい。まるでパグ犬のようだ、なんて笑う。

「答えは全部かな。」

下唇を食みながらそう答えると「っは、あ?」と苦しそうな唇で疑問の声を漏らす名前。
その舌を絡め貪る。ゆっくり口中を探り、歯茎を舐めまた舌を絡め唾液を吸い上げる。
名残惜しくもその唇を離すとさっきとはまた違う頬の赤みで浅い息を吐く彼女。

「お風呂で君をいただくことにするよ。」

笑って彼女の腕を風呂場へとひっぱると足をふらつかせて軽い力だけでひっぱられる彼女をエプロン姿のまま風呂場の中で閉じ込める。
「ちょ、っとエルヴィンさん!どういうつもりっ!」彼女がダンダン、と風呂場のすりガラスを叩いている間に服を脱ぎ扉を開けると勢い余った彼女抱き付いてくるかのようにぶつかってきた。
ぶっ、と潰れた声を出した彼女の腰を引き寄せて風呂場のドアを閉める。白くて薄い布をなぞると名前は抵抗し胸を押し返す。その力の弱いこと。
君は他の男にこんなことされてもその弱い力でしか返せないのか?そう思うとなんだか心臓の奥がもぞもぞと熱くなって唇を彼女の額に押し当てた。
ちゅ、ちゅ、と音を鳴らしてキスを落としていくと赤面して唇を噛みしめる名前。
彼女の背中を軽く押して、しかし決して落ちてどこかに体をぶつけたりしないように腰には手を当てたまま。きゃっ、と彼女の高い声と水の跳ねるぱしゃん、という音が同時に浴室内に響いた。
濡れた白い布きれから体が透けるのを防ぐように両手を体の前でクロスさせ縮こまる名前の濡れた髪をかきあげる。
涙の浮んだ瞳でやだ、と呟いた彼女に本当は嫌じゃないんだろう?と囁くと二人は浴槽の海へと沈んだ。










浴室に眠る不純