兵法会議が終わり疲れ果てて風呂棟に寄り軽くシャワーを浴びてから部屋へと戻る。
ドアを開けると彼女がベッドに寝そべりどこにあったのか本を読んでいた。

「部屋に勝手に入るなと言ってあるだろう」

「んー、いいじゃないこのくらい。」

ぶつくさと言ってベッドの中からもぞり、と向き合った彼女の布団を剥がすとサテンの黒いベビードールがふんわりと揺れた。真っ白ではなく訓練で少し焼けた肌に黒がよく映える。私が部屋の隅の突起にジャケットを掛けると背中に温かいものが触れた。
軽く首を回して振り返ると薄着の名前が抱き付いていた。

「どうしたんだ」

「…わかってるくせに」

いじわる、と言った彼女の唇が形のいい弧を描く。すとん、とベビードールの肩紐が落ちた。

「教えてくれるとありがたいな」

「もちろん、そのつもりですけれど」

追い詰められるようにベッドに座らされその膝に名前が跨る。その体は兵士だというのにびっくりするほど軽い。今度内地に行ったら栄養価の高いものを沢山食べさせてやろう、なんてムードのないことを考えたことに心の中で苦笑していると彼女の湿った唇が触れた。
体と一緒に口も清めてきたのだろう爽やかな匂いと味がした。
小さくて薄いそして柔らかいそれが優しく絡められる。
「んっ…」
仕掛けてくる本人がそんな甘い声を出して。そう笑って窘めることが出来ないくらいには欲情させられていた。はぐ
ぬめりと唇が舌を啄み離れる。彼女の上気した頬はまるでぷっくりと熟れた林檎のよう
彼女は唇をちゅっ、ちゅっと首元へ下ろしていきゆっくりとシャツのボタンが開けられる。
髪を撫でてやると猫のように目を細める彼女に下半身が熱を持った。

ゆっくりと下ろされるファスナーに慣れた手つきで私の下着を剥ぐ。
桃色の花びらの口唇からチロチロと出した舌の先でそのラインを辿るように優しく舐める。
急激に張りつめていく下半身の熱を煽るように白い細い指が根元を握りしめていている。

「きもち、い…?」

ランプに照らされて妖艶に光る黒曜石の瞳。足元に跪く彼女を力任せに引き上げて口づける。その先ほどとは違う複雑な味わいに一瞬顔を顰めるが形勢を逆転させ、彼女の上に跨り、彼女の膝を割った時にはもうそんなことは気にならなくなっていた。
舌を絡めながら溝を撫でるともうそこはしっとりと濡れていた。

「俺のを舐めながら濡らしてたのか?」

弄りながら問うと意地悪、と彼女の目がランプに照らされ赤く光る。
濡れそぼったそこに慣らすことなく昂ぶりを当てると彼女は生理的なものだろう、涙を一粒零した。



「ん、」

目を覚ますと同時に体のあちこちが痛んだ。隣で寝ている金髪の男はまだすやすやと寝息を立てている。昨夜のように奉仕して起こそうかとも思ったが、昨日いつまでたっても(仕掛けたのは自分だけれど)離してもらえずつらい思いをしたためすぐに諦める。
喉の渇きを感じて起き上がると頭の下に枕替わりにされていた太くて筋肉質な腕があった。その浮き上がる血管と少し日に焼けた腕にどきり、としてちゅ、ちゅっ、と手首から上に行くように口づけて最後に彼の薄く開いた唇にそっとキスを落とした。

「…王子様のキスのようだな」

「やだ起きてたの」

だいぶ前に。そう起き上がった彼に水を渡して私はベッドの脇に落ちた下着を拾った。





獣になりたい24時