二人で寝ようって言って買ったロングサイズのダブルベッドはなかなか二人で満たされることはない。今日も私が寝る頃にはまだエルヴィンさんは机でパソコンをカタカタ言わせていた。

「エルヴィンさん、まだ起きてるの?」「ああ、仕事が溜まっていてね。先に寝ててくれ」

エルヴィンさんが帰ってこない日もあるがこうやって夜中に仕事をして朝方に寝ることも少なくはない。じゃあ、先に寝るね、と声をかけてコーヒーを机に置いてあげる。
いまの季節はちょうどよく涼しくて薄い掛布団にくるまって寝ると気持ちが良い。
「おやすみ」



「ん、」
目が覚めて携帯をベッドの上から探りあてて時間を見ると深夜二時。せっかく早く寝たのにこんな時間に目覚めるなんて、と思っていると暗闇の中わしゃわしゃとバスタオルで髪を拭きビールを飲んでいるエルヴィンさんと目が合った。
「おふろ、はいってたの…?」
寝起きで声がふわふわとしている。エルヴィンさんはグラスに入ってた金色の液体を一気に飲み干しベッドへと入ってくる。
寝ている間に寝返りをうっていたらしく一人で広々と使っていたベッドをごろり、とまた転がって彼の入るスペースを空ける。ベッドは狭くなるのに私は嬉しくて嬉しくて頬を緩ませた。

一緒に住む前に旅行とかに行ったときは行為が終わってからぎゅう、と抱きしめられて眠るのが習慣のようになっていてだから私はエルヴィンさんのほうを無意識に向いた。
「名前後ろ向いて」「へ…、うん」
後ろからぎゅ、ってされるのかなと思いおとなしく後ろを向くとこの間奮発して買ったかわいい部屋着が背中からまくりあげられ露出された肌が外気に触れる。
「ちょ、エルヴィンさんっ…?!」
背中に生暖かい舌が這い跳ねる体。いきなりの快感に漏れてしまいそうになる声は唇を噛みしめることで抑えられた。横に寝ていたはずのエルヴィンさんはいつの間にか起き上がり膝で私の体を跨いでいて。顎をぐいと引き寄せられてキスを落とされる。エルヴィンさんの飲んでいたアルコールが伝わるように顔からどんどん熱くなっていって体が重くなる。
「ぁっ、……んん…ッ…や…ぁ…ッ」
舌を吸われながら慣れた手つきで下着のホックが外される。すでに熱くなった果実の先端を食まれ体はまた仰け反った。ヘッドボードにぶつけそうになった頭をエルヴィンさんが抑えてくれる。優しい、とぼんやりとした頭で思ったが同時に与えられている刺激に声にならない声が漏れるだけだった。
「んんっ……あ、」
モコモコとした素材のショートパンツとショーツが二枚同時に下ろされ腿にも熱い舌が這う。
「やっだ、ね…えるび、さん」
溝をやわりと撫でる彼の骨ばった太い指を掴むと青い瞳と目が合う。普段は海が凪いでいるような瞳をしているというのに今は津波のような荒々しい目をしている。もう捕まったら出てこれないような。
カサカサとした音とともに私はぎゅ、と彼の肩に抱き付き目を閉じた。
「んん、ぁ、…っ……ひゃっ」
体すべてを揺すぶられるような快感に下腹部にぎゅっ、と力が入り体が撓る。エルヴィンさんが頭を撫でてくれてはっ、はっ、と荒い息と痛いくらいにどきどきしている心臓。
生理的にこぼれた涙をキスで拭われ、私は彼の手を掴んだ。
「んっ、えるびんさん…?」「ああ、すまないね」
下腹部に残る感覚、と思いきや彼のものはまだ抜かれておらず私は彼を目で促す。ゆるり、と抜かれるその感触さえもが耳の後ろをぞわぞわとさせてまた少し熱い息が漏れるのを感じだ。どろどろで気持ち悪い、お風呂入ろう。そう思って起き上がろうとするとまた座った形で抱きしめられ大きく熱くなったものが押し上げられるような衝撃。

「へっ!えるびんさん…もぅっ…」
「君が可愛いのがいけないんだ」

そんな片眉下げて申し訳なさそうにされても困る。それでも無意識に漏れてしまう息と熱い身体はもう止まれなかった。






いつまでも綿の中