自分が子供だなあ、と思うことは多々ある。
顔の輪郭が丸いし、鼻は小さいし(要するに童顔だということである)、苦いものは嫌いだし、高級なものの味はわからないし、気分屋だし、自分の事だけしか見えなくなってしまったり、それに―――クラスの友達は皆初体験を済ませてしまっているのにまだだったり。

そんな私が付き合っているのは随分年が離れているエルヴィンさんで高校生と社会人なんていうおかしな関係だと思っている。だけどやっぱりエルヴィンさんは大人だ。
キスした時にその先の展開を予想して震える肩を抱きしめてそのまま優しく頭を撫でてくれたりするとなんだかどうしようもなく情けなくなってだけれども胸がほんわかしてしまうのだ。

「名前、今日は私の家に泊まりにおいで」

そんなメールが来て高鳴る胸。慌てて箪笥の奥から濃い花柄のお気に入りの下着を取り出して、脱がしやすいからデートにおすすめ、と友達に聞いた前開きのブラウスを広げてなんだか恥ずかしくなってやっぱり無難に白のワンピースにする。エルヴィンさんに追いつきたい少しだけでも。そう思って選ぶ服は彼にどのように映っているのだろうか。


「こんにちは」「すまないね来てもらって」

いえいえ、そう笑って部屋へ招き入れられる。久しぶりに会ったその瞬間が一番気まずいと思うのは私だけだろうか。漫画のように玄関口でキスでもされてしまえば何も考えなくて済むのに中途半端な世間話にどきどきする。これも私が子供だからだろうか、急ぎすぎているのだろうか。
優しく私を見下ろす彼は前髪をくしゃりとさせて微笑む。普段きちりとした人の隙のある格好ってどうしてこんなに格好いいんだろう。襲ってしまいそう、とか思ってまた自分のはしたなさに嫌になる。
そう俯いた瞬間に顎を撫でられ持ち上げられ柔らかいものが触れる。頬が熱くなるのが感じた。
「っ…える、び…さ」「物欲しそうな顔をしていた」

腕を引かれベッドへ導かれ、綺麗に整えられたシーツの上に座らせられると痛いほどの強い力で抱きしめられる。無意識に肩が震えるのがわかった。肩をなでられる感触。
しかし私の予想していたものとは違い優しいもの。
そのまま引き寄せられベッドへ寝ころぶ、寝た体勢でもやっぱり見上げる形になってしまう。せっかく下着までちゃんと合わせてきてそういうことにならなかったのは少し残念、期待はずれ、んんなんていってもしっくりくる言葉はないんだけれどでもそれでも優しく抱きしめてくれるエルヴィンさんが私は大好きで誰よりも安心感があるから幸せなんだ。
抱きしめ返す腕をもう少し強くして彼の負担にならない場所へ頭を移動してもう一度目をつむった。






守るように抱きしめて