※エルヴィンがゲスいです



リヴァイは地下街では有名だった。汚く礼儀知らずなならず者が蔓延っていた地下街はリヴァイがリーダーになってから清潔になって少しだけ落ち着いた。そうはいっても上下関係がなってない奴だっているし外から(正しくは上から)入ってきた人には容赦ない。
その後リヴァイが調査兵団の偉い人に勧誘され地下街を出て行ってから少しだけ荒れた。

「名前ちゃんいっぱい食べてね。サービスで焼き立てのクロワッサン入れといたから」
「ありがとう、おばさん」

ゴロツキに襲われたパン屋を助けたらおばさんがちょこちょこ余ったパンをくれるようになった。カサカサとなる紙袋がなんだか心地よい。リヴァイがいなくても私はやっていけてる。もう甘えてる私ではないのだ。風が気持ちよい。目を閉じて大きく息を吸うとがつん、と頭に何かがぶつかって私はそこで意識を失った。




あの子が欲しい、そう心が告げていた。噂で聞いたリヴァイを見に初めて地下街に足を踏み入れたあの日。日々鍛えてる私は地下のゴロツキなど恐るるに足らずと思っていた。
しかし相手をしてみるとしつこく面倒くさい。巨人と違ってうなじを削いで殺すわけにもいかない。
面倒くさいものだな、とため息を吐いたところで後ろの男どもがなぎ倒された。
短いズボンからすらりと伸びる白い足。靡く黒い髪。意志の強そうな琥珀の瞳。
「外の方が興味本位でここに来るのは危険ですよ?」
桜色の唇が弧の字を描くあの綺麗な笑顔を私は忘れられそうにない。
リヴァイを調査兵団に引き込むことはできた。それからというもの心を占めているのはずっとその娘のことだった。
名前がどんなように立体機動装置で空を飛ぶのか見たい、うなじを削ぐのに靡く髪が見たい。無意識に私は指でポケットの中の鍵を弄っていた。

「名前、開けるよ」
調査兵団本部のひとつの部屋。唯一外からかかる鍵のあるその部屋は普段使われることなく私の私物置きとされ一際人気のない場所にあった。
鍵をポケットから出し開けると小さな部屋の真ん中を占める大きなベッドにそれを取り囲むような本棚。ベッドの上には開いた扉を怯えるように見つめる名前がいた。
手首を持ち上げると手錠がこすれて赤くなった跡がついている。
「また暴れたようだね名前」「あなたのせいではなくて?」

凛とした琥珀の瞳は変わっていない。置いてある昔憲兵団に没収された外の世界に関する文献は手をつけられてない。借りまでつくってナイルから譲り受けたと言うのにもったいない。

「調査兵団になる気にはなったかい」「なるわけない。」

生意気な唇を塞いで内地で買ってきた珍しい既成服の白いワンピースを肩からするりと抜く。怯えたように震える彼女を抱き寄せて慣れさせることなく自身を彼女の中に挿入した。



どうしてこんな風になってしまったのだろうか。メリメリと割り込むように入ってくるエルヴィンさんのソレ。眩暈のするような痛み。どうやっても腰にそえられた手は力がこもっていて抜け出すことが出来ない。目の端で溜まった涙はぺろりと舐められて律動がはやくなる。
「私はこれでも君が好きなんだ、好きなんだよ」
嫌だ嫌だと泣き叫ぶ私の声にかぶさるように言われる。なんだかもう目が開かなくなってしまって私は記憶を手放した。

妊娠させるなんて酷いことをするつもりはない。そんなことをしては闘えなくなってしまうからね。彼女の汗で濡れた体を拭って替えの黒いワンピースを着せると私は音を立てずに部屋を出た。彼女が堕ちるのももう少しだろう。




奈落の底






たたのげすびん…