「イブニングドレスは、女性用の礼装服で、夜会などで着用される。夜会は、お肌を見せるドレスが正装とされているため、袖がなく、胸や背中が大きく開き、裾が長くなったものが一般的とされていて、素材はレースやサテンといった素材を使い、女性らしさを強調するドレスである。 宝石やアクセサリーを合わせることで、一段とゴージャスに着こなすのが正式と。 反対に昼間に着るものはアフタヌーンドレスといわれる…と。」

「すごーい名前。教官目指した方がいいんじゃない?」

「冗談やめてよ、ハンジ。」

いつもは巨人相手に立体機動で飛び回っているハンジのやんちゃなヒールのないブーツも今日ばかりは黒のハイヒール。黒のシフォンのドレスはセクシーだけど上品で胸元にはスパンコールが輝いている。まるでいつものハンジとは思えない。

「…おい用意はできたかクソメガネ」

ドアを足で開けるリヴァイでさえも今日は一流の格好をしている。
今日は例のごとく貴族とのパーティーに参加する日で四人招待されていた。団長のエルヴィンと兵士長のリヴァイが参加するのは当然の流れである。そこから二人選ぶのにまさかハンジとミケを選ぶわけにはいかなかった。(ミケは男である前に口下手だしパーティーなんて柄じゃない。)そこで選ばれたのがエルヴィンの部下であり恋人である名前だった。しかし交渉目的とはいってもエルヴィンとのパーティーである。そこで私が選んだのはハンターグリーンでエンパイアラインのイブニングドレス。透け素材でビーズ刺繍のフィンガーレスのロンググローブを合わせて髪はアップにまとめた。

「見違えたな、名前」「あなたの髪の色に合わせたのエルヴィン。」

エルヴィンは軽く啄むようにキスをして私をエスコートした。会場はきらきらと輝いていて巨人と戦う私たちには似つかないもの。だけれどもエルヴィンは貴族なんかより一際輝いていた。あちらこちらから夫人の視線を感じてなんだかとてもおもしろくない。

「名前」

エルヴィンはエスコートしていた私の腕をそっと持ち上げて二の腕の内側にキスを落とした。触れただけなのに彼の熱情を感じて息が熱くなってしまう。

「これはそそるな」

前にもそんなことがあったからアップにした髪のことを言っているのはわかった。腕を下ろされるのと同時に握られうなじにキスを落とされる。
止まらなくなりそうなエルヴィンの肩を叩いて軽く抵抗する。

「資金を交渉してきて。…ご褒美はそのあとよ」

「寝室で待っているのが賢明だ」

にやりと笑って交渉先へと向かうエルヴィンの背中はもう団長そのものになっていて、私はどの下着で彼を待とうか思いを巡らせていた。









彼女の名はストリキニーネ