うきうきしすぎて、約束の時間より早く着きすぎてしまった。今日はエルヴィンさんと花火大会に行く。行けたらいいな、と前から思っていて予定がないまま購入を決めた黒地に紫八重桜と桜が染められた華やかな浴衣。ペトラにゴリ押しされて迷っていた兵児帯も約束してから慌てて買って、セットについてた巾着は小さかったから大きめの籠バックまで買ってしまった。

「早いな」「えへへ、楽しみすぎて家出るの早くなっちゃいました。」

本来なら楽しみすぎて洋服選んでたら遅くなっちゃった、がセオリーかもしれないけれど私は彼に会える時間を1分1秒たりとも逃したくはなかった。

「浴衣、名前によく似合ってる。」

かわいい、そう真顔で言う彼に私は頬が熱くなるのを感じた。ああもうそこでありがとう、とかいって素直に返せる大人の女性になりたい。彼の手がそっとサイドのおくれ毛をかすめた。行こう、そう言われ差し出された手を握って私たちは駅を出た。



「…わ。」「雨だ」「雨だね」「雨だな」
遠くの方から第57回花火大会は雨天のため中止になりましたーと拡声器越しに叫ぶお兄さんの声。エルヴィンさんと花火見るの楽しみにしてたのにな…と思いつつも私たちの足は駅の改札の方へと進む。同じように駅まで向かう人が多く、はぐれないためだろうエルヴィンさんの私の手を握る力が少しだけ強くなる。しかしその足は改札の前を通り過ぎた。
「エルヴィンさん?」「いいからついておいで」
少しいたずらっぽく笑う彼になんだか胸がきゅんとしてしまって黙って私は彼の手を握りなおした。


「ふ、ぅんっ…え、えるびんさっ…」
花火が中止なら仕方がない行きたい場所があるんだけどいいかい?そういい笑顔で言い切られたことに疑問を抱かなかった自分を責めたい。駅に隣接されたシティホテルの部屋に連れこまれた瞬間に激しくキスをされた。いつもはもっとベッドにふたりで寝たり夜景を眺めたりゆったりとするのに。そう言いつつも獣のようなエルヴィンさんにどきどきしてしまったりして。
「…やっ、だめエルヴィンさっ…」
うなじに落とされたキスはだんだん下がっていって胸元に赤い花びらを刻んだ。足元は割れた裾から太腿までをさすられて危機感を覚える。
しかしエルヴィンさんは決して無理強いをしたりはしない。私の言葉に顔をあげてくれた。
「浴衣、ひとりで着れないから…」
ここで続けたいようなニュアンスを出してしまうのがなんだか悔しいけれども。そんな浴衣の着付けなんてできない私に今日は朝からペトラが来て浴衣を着せてくれた。そう説明するとエルヴィンさんは啄むようなキスをした。
「大丈夫、私に任せなさい」
そして抵抗する暇もなくしゅるり、と兵児帯が抜かれた。太腿を這っていた手のひらはもうだいぶ上まで到達していて私の下着の中心を押した。
「ぁ、や…だ、めだよっ…ひゃっ」
帯が完全に全部ほどかれる。帯がとられると浴衣を羽織っているだけの状態になりなんだか急に恥ずかしさが増した。帯のせいで締められていた腹部にも熱い舌が這い私は彼の腕をぎゅ、と掴んだ。徐々にはやくなっていく指は陰核を上下に擦ったかと思うと円を描いたりしてゆるく私を追い詰める。
「んっ…えるび、さ…いっちゃ…やぁ、ん、んっ…………」
波がどんどん押し寄せる。爪先に力が入るのと同時に私の手にエルヴィンの手が重なった。
体が熱くなって全体から芯へと引き締まるような感覚。下半身がびくびく動くのを感じつつも落ちてくる瞼に逆らいきれず私は意識を手放した。





雁金草のベレッツァ









浴衣の着付けが出来るエルヴィンとか、簪で髪結えるエルヴィンとか、浴衣の下に下着つけてないとかそんな妄想ばっかりしてたけどまとめきれずに終わった…
とりあえず何が言いたいのかというと隅田川のカップルェ…