ギシギシと揺れる宿舎の古いベッドと結合部からねちねちぐちぐちょと軽い水音。
名前の俺を見つめる瞳は欲情に濡れていてもともと熱くなっていた体をより熱くさせた。
目元の涙を拭うように唇をおとすとへにゃり、と力の抜けた笑顔を向ける名前。
その笑顔にぞくぞくと背中が震え、俺は腰の速度をはやめた。





「はあ?お前らまだヤってなかったのかよ?」
心底驚いたように言うユミル。
「うん…」何だか肯定するのも恥ずかしくて私はあいまいに頷いた。はしたない、と思われるかもしれないけど私だって欲くらいある。ジャンの顔と手を思い浮かべて一人さみしい夜をすごしたり、キスしているだけなのに下腹部に熱を感じたり。
とりとめのない女子会は教官の怒号により解散させられた。
「名前が誘えばいいだろ」
ユミルの台詞をのこして。


「んっ…ふっ…じゃ、んっ…」
食事中の宿舎。誰もいなくなったそこには誰も帰ってくることはない。
女子寮には同じようにハンナとフランツがいるはずでみんな空気を読んでいる。
長いキスが終わり、ジャンは自身の欲望を押しとどめるかのように私をぎゅ、と抱きしめた。
「ジャン…あの、さ、シよ?」
言ってしまってからどうしようもない羞恥心が私を襲う。
顔にどんどん熱が集まって熱い。しにたい。
顔を上げてごまかそうとしたところで私の体はごろり、と倒され上にジャンの大きな体がのしかかってきた。
「止まらねぇぞ?」
お前が可愛いこと言うからよ、そういうジャンの顔も赤くなっていて。
私は彼をひきよせてそっと唇を落とした。

―――――――――――――――そして冒頭へ戻る。






火傷しそうなくらい熱い。
揺さぶられジャンの短髪からぽたぽたと汗がこぼれる。

「っ…ああぁッ…ジャンっ…じゃ、んっ…」

腰のあたりにぞくぞくと鳥肌が立つ。
鈍い痺れに声が止まらない。
名前を呼ぶとぎゅ、と抱きしめてくれるジャンが愛おしい。

「も…ダメ…あ、あああッ…!イっ、ちゃ…」

「っ名前…俺もッ…」

抱きしめる力が強くなり動きが止まる。
荒い息で肩を上下させるジャンには年相応には思えない色気があった。
脱力し、動けないながらも好き、と呟くとジャンの栗毛がもそり、と揺られた。








微熱