――――――ああ、名前。リヴァイの部屋に行くんだろう?少し頼まれてくれないか。


廊下ですれ違ったエルヴィン団長にそういわれて書類の束を渡された。顔に出ていたのだろうか、恋人であるとはいえリヴァイの部屋にいくとばれてしまっているのがとても恥ずかしい。けど、そういえばハンジに名前は顔に出やすいからね、と言われたことを思い出した。ああポーカーフェイス手に入れたい。

「リヴァイ??」

コンコン、と軽くドアをノックして彼の執務室へと入る。
頬杖をついて書類にサインをしてはんこを押していた彼は私の姿を見ると立ち上がった。
なんだか顔がより不機嫌になった気がする…私、なにかしたのだろうか。

「あの、これエルヴィン団長から預かったやつ」

書類の束をリヴァイに手渡すと彼はちらり、と表紙の字に目を走らせる。
私は部屋の隅にあるベッドに腰掛けた。
仕事であるし、きっと夜になってからエルヴィン団長が渡してくるものだ、緊急もしくは
重要に違いない。
待っていようと思い私はベッドの脇に置いてあった本を手にしようとしたところ。
リヴァイは平然と書類の束を机の上に置いて私のもとへとやってきた。

「え、あの書類は?やらなくていいの?」
「放置されてぇのか?」

や、そういわれると何も返しようはないんだけど。壁外調査があり、出兵の準備や書類整理などもあり私だってリヴァイにもう随分前から触れていないし。

「……んっ」

触れた唇に声を漏らした私にリヴァイは薄く笑った。(あ、かっこいい)
よく本などで読む恋人のような甘い空気で優しく押し倒されるのではなく、肩を掴まれぐい、と倒される。その痛みでさえなんだか彼の優しい気持ちをどうにか隠しているようでにやにやしてしまう。

「……やる」

リヴァイが私に握らせたのはなんだか冷たくて小さなものだった。
手のひらにのっているのは小さなシルバーの指輪。
兵士なんてやっている私には似合わないほど華奢で綺麗な。

「……な、んで」
「いらねぇなら返せ」

先ほどは射抜くような視線で私を見つめていたリヴァイがこれを渡してすぐに顔をそらすようにする。
私は自分の口の端が締まりなくなるのがわかった。

「リヴァイ、すき」
「知ってる」

自然にこぼれた涙を拭い取ってリヴァイはぶっきらぼうに私を抱き寄せた。
ああ、幸せだな。とか思ってしまって。



生まれてきてくれて
一緒に生きててくれて





あきらさん誕生日おめでとうございますううううううう!!!!!
最近陰鬱なものばかり書いていたせいで甘いという概念がもうわからなくなっていてこんなもんで申し訳ないのですが…
お持ち帰りはあきらさんのみ可能です。
楽しんでいただけたら幸いです!改めて誕生日おめでとうございます〜