夢企画私の英雄さまに提出。



この世界は決して衛生状況が良いというわけではない。
しかしながら税金で雇われている私たち調査兵団には少しだけの贅沢が許されている。

温かいお風呂に浸かって脱衣所に出るといつも通り白いシャツに黒の柔らかい素材のハーフパンツを履く。普段はださない太ももの裏側にに赤い擦れたような傷があるのをみて名前は顔をしかめた。

「エルヴィン?」

私たちの部屋のドアよりも高級感のあり重い扉を開ける。
彼は部屋入ってすぐの執務室のソファに腰かけながら白いタオルで自身の金髪の髪をぐしゃぐしゃと乾かしていた。

「どうした、名前。こんな夜更けに来るとは珍しいな」

彼もお風呂に入ったばっかりらしく肌が少し濡れている。視線をおろすと上半身は裸で、名前は熱が顔に集まるのが分かった。

「ちょっと、擦り傷ができただけ。」

自分じゃ手当てできないからやってほしいの。そう告げるとエルヴィンはソファに掛けていた白いシャツを羽織り、私をそのソファへと座らせた。
いつもは部屋を訪れる時もきちりとした隊服だから、シャツを着たとはいえ隙があるように見えるエルヴィンがなんだか珍しくて、なんだか愛おしい。
傷が見えやすいように三角座りをしている足を上にあげられる。傷を眺めているだけなのに情事の時の格好のようでどきりと跳ねた自分の胸が悔しい。

「名前、何を考えている?」

「……べつに、」

エルヴィンは何もかも見越したように微笑んだ。ああ、悔しい。
簡単な傷の手当を終えて立ち上がろうとしたエルヴィンを私は引き寄せて唇を寄せた。

「……んぅ、」

何もかも分かっているようにぬめりとした舌が私の唇をそっとなぞった。
エルヴィンの、顔が見たい。
そっと薄く眼を開けるとエルヴィンは先ほどの穏やかな微笑みとは打って変わってまるで巨人を前にしたように青い目がギラギラとしている。

はじまりと同じように突然離された唇と、はぁはぁ、という私の吐息と、頬に寄せられたエルヴィンの温かみ。
私はそっとエルヴィンの目じりを撫でた。(あ、まつ毛長い)
きっと寝ていないのだろう、隈がある。

「寝なきゃ、エルヴィン」
ぎゅうとエルヴィンを抱きしめてベッドへ誘う。190近い男が寝ころぶとベッドの足元にはあまり余裕がないな、などと他人事のようなことを考えていると腕を掴まれ私もベッドにダイブした。

「う、わ。」

吸い寄せられるように鎖骨に当たる柔らかい唇とリップ音。はやくなる鼓動とは逆に強張る体。

「何もしない、」

だからここにいてくれないか。本当に眠いのだろう、目をつむったまま私の腕だけを離すことなくエルヴィンが呟く。
胸がぎゅっとした。筋肉質で硬くて大きい体をそっと抱きしめると聞こえるのは寝息。
ああ、人類の命運を託された貴方を守るのは。



わたしの唇じゃ駄目かしら