▼ 溶け合う【しげる】
<バレンタインデー編> [寂しがる]のお話と設定同じ
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「しげるくん、はいどうぞ」 「…どうしたの急に」 「今日はバレンタインデーでしょ?だから」
渡されたのは小さな箱に詰められた可愛らしいチョコレート。手作りでも何でもない、そこいらの店で売ってる在り来たりな物だった。
「ごめんね、こんな安っぽいので…いらなかったら捨てて」 「いいよ。なまえさんから貰えるモンなら俺、何だって嬉しいし。ありがとう」 「…しげるくん、」
健気な少年の言葉になまえは後悔した。こんな事ならもっとちゃんとした物にすれば良かった、と。と同時に何か別の物を…と考えた時に思いついたのは
「ねえ、もうひとつ…あるんだけど」
しげるの腕を掴んで引き寄せると、その拍子に手にしていたチョコレートがばらばらと床に落ちて転がる。
「目、閉じて」
二人の吐息が交わる距離まで近づいたら何も言わずに唇を重ねた。
「ん、なまえさん…」 「しげるくん…すごく、可愛い…」
触れるだけの軽いキスを数回繰り返すと、なまえは「もっとあげる」と角度を変えてしげるの口内を貪る。
より深く、濃密に
柔らかな舌をねろりと絡ませながら擽るように優しく吸い上げた。
「チョコみたいに甘いね。溶けちゃいそう」 「急に、こんな…反則だろ…ッ」
赤く染まった頬を隠すようになまえに抱き着いたしげるは足下に散らばったチョコレートを見つめて「チョコより甘いよ」と呟いた。
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