▼ 気づく(アカギ) 夕暮れ時はどこか寂しさが募る季節は冬。冷たい風が身に沁みて思わず肩を竦めた。悴んだ指先を上着のポケットから出したら「・・・・・」いつもの癖で差し出したアカギの手を嬉しそうに繋ぐ彼女はもう居ない。「なまえ」最後に見た泣き顔が目に焼き付いて『さよなら』震える声で絞り出した彼女のひと言が胸を抉る。こんなにもなまえを愛していたのだと、失ってから気づいた。