▼ 眠る(アカギ)
「すごい熱…」

普段青白い顔色の彼が今は頬を赤く染めていた。時折咳き込んで眉を顰める姿が痛々しい。

「なまえ、帰りなよ」
「どうして?こんな病人置いて帰れる訳ないでしょう」
「…風邪うつる、から」

水枕に頭を乗せて布団に寝ているアカギの額に手を置くと「やっぱり熱い」と濡らしたタオルを当てた。

「そんな事気にしないで。早く治さなきゃ」

にこりと笑うなまえはそうだ、と何か閃いたように近づいてアカギの熱い唇へと口づけを落とす。

「ほら、誰かにうつすと治るって聞かない?」
「……ベタ過ぎ」
「ふふ…じゃあお粥作るね」

キッチンに向かう彼女の後ろ姿を見つめて小さく呟いた。

「そういう所が可愛いんだよな」

「んー?なぁに」
「何でもない」

熱の所為でふわふわとした意識の中、優しいなまえの声に安堵して眠くなったアカギは緩やかに目を閉じた。