まさかこんな事があるとは
夢にもおもわなかった。
いや、これは夢だ。絶対に。
***
「生きてる」
気怠い身体を起こすと見知らぬ公園のベンチに倒れていたらしく、通りかかったおじさんが声をかけてくれた。
「嬢ちゃん、こんな所で寝てたら風邪ひくぜ」
「あ…え、と…ありがとう、ございます」
軽くお辞儀をしてから気付いた。何か肌寒いな、と思ったら服を着ていない。そういえばこれは刺される前に着けていた下着だ…恥ずかしい位にセクシーなやつ。絶対に変質者だと思われたに違いない。
「まあ、とりあえずコレ羽織って一緒に来な」
そのおじさんは山吹色のスーツの上着を貸してくれた。これで肌が隠せる…
「ありがとうございます」
黙って先を歩くおじさんの容姿に違和感を覚える。
(あれ?どこかで見た事あるような)
オールバックの銀髪、山吹色のスーツ、派手なシャツに漂う色気…
「ぎ、銀王!」
えっ?あ、あれって漫画の話よね?じゃあ目の前にいるのは誰!?
ピタリと立ち止まって肩越しに振り向く彼の人は青ざめる自分とは正反対に顔色ひとつ変えずに私に問い質した。
「…知り合いだったかな」
「っ!いえ、全然っ!」
もう頭の中はパニックで何も考えられなかった。
未知との遭遇
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