相互記念 | ナノ



星屑一つ手のひらに









お前はいつも空ばかり見ていたな
たまにお前は空に手を伸ばす
それは何かを欲するように
だから、我輩はらしくないことをしたのだ



紅茶の用意をしている間にも後ろで聞こえる唸り声
耳障りではなくむしろ心地好いくらいだ


魔法でティーセットと
彼女の好きなマカロンを
テーブルに出してやれば
途端に羽ペンの音がやむ


「宿題は終わったのかね?」


『…まだです。でもでもっ!
こんな美味しそうなお茶とお菓子が出てきたら
宿題をやる手も止まっちゃいますよ』


菓子から目を離さないまちるに
小さく失敗したなと思いながら
食べたらやれと言えば明るい声で返事が返ってきた

紅茶を飲みながら宿題を手伝う
彼女は優秀な生徒だ、それもすぐ終わり
ゆっくりと紅茶を味わう時間が持てた


『やっぱり教授の紅茶は美味しいです』


なんて目を細めて笑われれば
心が綻ぶのがわかった

隣にいるまちるを抱き寄せると
驚いたように我輩を見上げるまちる


「まちる、お前は星が好きか」


『…?はい、好きです…けど』


そうかと短く言い天井に向かって杖を振る
杖先から伸びるシルバーとグレーの光
すると大広間のような綺麗な夜空が広がった


『う、わぁ…!』


すごいすごいとはしゃぐまちる
だが途端におとなしくなり
すっと彼女は天井に向けて手を伸ばした


「それはなぜやるのだ?」


初めはきょとんとしていたまちるだったが
質問の意図がわかったのかふわりと笑い
楽しそうに話しはじめた


『手を伸ばせば星に届きそうだなって思うんです。』


本当は無理なのはわかってますよ?と
悪戯っ子のように言うまちる


『手を伸ばして星が落ちてきたら
すごく綺麗なんだろうなって。
亡くなった人は星になるって言うじゃないですか。
だからあの光はきっと命の光なんですよ。』


だから近くで見て、触れてみたいんです


そういってまた手を伸ばす彼女の手を
掴み自分の手と重ねた
そうして星に杖を振った

ゆっくりと手に落ちた光

まちるはそれを光がなくなるまで見ていた
光を見るまちるはどこかはかなく
その光と共に消えそうだった

光が消えた瞬間我輩は彼女を抱きしめた


『きょ、じゅ?』


「大丈夫だ、」


光を見る彼女をみた時
誰かに思いを馳せていたのがわかった

悲しいでもなく辛いわけでなく
ただ穏やかに懐かしむような瞳で

そんな彼女みて我輩は
彼女を抱きしめずにはいられなかった


『私、ひとりじゃないんですね。』


「あぁ。離れたいと言っても無駄だ。」


『ふふっ、教授?
私、今、すごく幸せです。』


「そうか、」


それからしばらくまちるは
我輩の肩に頭を乗せ空を眺めていた


「まちる、」


そろそろ寮まで送ろう
と言いかければ寝息を立てるまちる

起こそうとした時に微かに聞こえた声に
我輩は起こそうとした手を
彼女の腰と首に回し寝室へと向かった

ベッドに寝かせ終われば額にキスを落とす


「おやすみ、まちる」


いい夢を、
そう言い残しドアをゆっくりと締めた


君の言葉を胸に抱いて
今日も幸せな夢を見る




(………あい…して、る)
(そんなこと知っている。我輩もだからな)


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勝手に相互記念しちゃいました(笑)
よかったらお持ち帰りください^^
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