嫉妬狂いの君と朝

珍しく早く起きてしまった
まだ誰も起きていないであろう
そんな今は朝の4時

着替えをして軽く髪を梳かして
甲板へ出てれば視界いっぱいの青
そんな真っ青な海を前にして大きく伸びをする

『んー!気持ちいー!』

少しの間海を眺めていたら
やっぱりお腹が減って
お腹の虫が勢いよく鳴いた

カフェオレでも飲もうかと食堂の扉を開ければ
そこにはサッチ隊長がいた

「あれ、なまえじゃん。おはよう!」

『おはようございます。サッチ隊長も早いですね』

「あーこれくらいの時間から
仕込み始めねぇと間に合わないんだわ」

大変なのよー
とサッチ隊長は苦笑いをした

『あの、私でよければお手伝いします!』

「本当!?いやーそうしてもらえるとありがたいよ。
じゃあそこの野菜はスープにするから
適当に切っておいてくれるか?」

『はいっ!』

さっそく手を洗い野菜を切る
トントントンと手際良く切る私をみて

「なまえはうまいもんだなー」

『意外ですか?』

「まぁ、ちょっとな。でも前言撤回!
なかなかの腕前ですよなまえさん?」

『からかわないでくださいよ……った!』

ついよそ見をしていたら指を切ってしまった

「ったくよそ見してっからだぞ
あー…血出てきたな」

私の指を見ていたと思えば
サッチ隊長はぱくりと私の指をくわえた

『さ、さサッチ隊長!?』

「んあ?うるへー」

べしっとおでこを叩かれれば
おとなしくするしかなかった

そこにドアを押して入ってきたのは
一番隊隊長で私の恋人のマルコ隊長だった

私達を見れば一気に苛ついた顔をして
私とサッチ隊長を引きはがすと
無言で私の手を掴み歩いていく

『あのっ、マルコたいちょ、』

「うるせえよぃ」

それ以上なにも言わせない雰囲気を出していたから
私は黙るしかなかった

自分の部屋に着くやいなや
私をベッドに放り投げる
ベッドのスプリングが悲鳴をあげる
そんなことに構わず私に覆いかぶさる


『あの、たいちょ』

「黙れ。お前サッチと何してたんだよぃ?」

『早く起きてしまったので
サッチ隊長のお手伝いを…』

「だからってなんであいつがなまえの…っ」

くそ…と言いながら荒々しいキスをするマルコ隊長

舌を絡められるがそこに快楽はない
ただ恐怖だけが私を支配していた

いつだって優しかったマルコ隊長
いつだって私の体や気持ちを優先してくれた
なのに今はこんな寂しい冷たいキスをする


こんなの嫌だ!
そう思えば私は泣いていた

『…っく、…ごめん…なさ……』

マルコ隊長ははっと我に返ったように
私を抱きしめる

「悪かったよぃ。つい頭に血が上って、」

私を宥めるように背中をさする手は
いつものマルコ隊長のものだった

『…隊長』

「ん?」

『キス、してください』

「…いいのかぃ?」

こくりと頷けば摘むようなキスをされ
だんだんとそれは深く貪るようなキスに
変わっていった

『…、っぅ……』

「俺はなまえが心配で堪んねえんだよい。
さっきみたいなことがあっちゃ
また抑えられるかわかんねえ。
お前を嫉妬で壊しちまいそうで怖いんだよい。」

隊長がいつもより小さく見えた

「私はいつだってマルコさんしか見てませんよ。
さっきのは指を切っちゃって
サッチ隊長がやってくれたことですし。」


だから、ね?と言えば
返事の代わりにキスをもらった

お互いにごめんと謝ると
なんだかそれがおかしくてどちらからともなく笑った

『マルコさん、それで、私…』

「サッチの手伝い、だろぃ?
俺も行くからな。」

そういって食堂に向かうマルコさん
私の言いたいことはお見通しらしい

『お手伝いが終わったら一緒にお茶にしましょう』

「なまえがいれたコーヒーが飲みてぇよい。」

『喜んでいれさせていただきます。』

ふふ、と笑えばすぐそこには食堂のドア
ドアを開ければびっくりしたような
なんとも言えない顔をしたサッチ隊長

『お手伝いの続きさせてください!』

と言えばありがとなと言って笑ってくれた









お手伝いを終えてもサッチ隊長は
まだ料理をしている

それでもサッチ隊長が私を
というか苛立つマルコさんをみて
早く行ってやれ後が怖いだなんて
言うものだからこちらにきたのだ


『終わりました。』

「そうかぃ。」

はい、と自分用の甘めのカフェオレと
マルコさん用のブラックをテーブルに置くと
ありがとよいと頭を撫でられた
サッチ隊長が反対側を向いた時には
小さな軽いキスのおまけもついてきた


そして一口カフェオレをこくりと飲むと
いつもより甘い気がした
何故だろうと考えてみたら
理由は案外早く見つかった


それは隣に大好きな人がいるからでした















(マルコさん大好きです!)
(俺もだよい。)
(よかったよかった)
(よかったじゃねーよいサッチ。
覚悟はできてんだろーな)
(ひいっ!)


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bkm
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