だーれだ!
こっそり、こっそり
気配を消して近づく…
絶対気づかれないように。


後ろからぎゅっと抱きついた

本当は視界を奪ってやりたいんだけど
彼との身長差がある。

ちょっと声を変えて

『だーれだっ!』

目の前の奇抜なシャツを見て、
そのシャツに顔を埋めたら香る匂いに、
こんなに落ち着くのは
きっと彼だけだなぁなんて思った。

「…ハァ、なまえ。お前仕事はどうしたんだよぃ?」

ため息を尽きながらも
きちんと答えてくれる
そんなマルコさんが大好きだ。

『んー?お洗濯もお掃除も全部終わりました。』

「そうか。あいにくだが俺はまだ終わらねぇんだよぃ、だから離れろ。」

1番隊隊長のマルコさんには
たくさんのお仕事がある。
迷惑をかけちゃいけないから
しぶしぶ身を離す。

「いい子だ。」

頭をぽんぽん、と撫でられれば
また離れがたくなる。

目の前のマルコさんがなんだか
とても愛おしくてまた抱きついた。


「……なまえ、俺は仕事が」

『わかってる、ごめんなさい。
あと少しだけだから。』

そう言えばマルコさんは何かを感じたのか
もう何も言わず頭を撫でていてくれた。

しばらくして体を離すと
マルコさんと目がばちっとあった。

「…仕事が終わったらいくらでも構ってやるよい。だから今は我慢な。」

『わかりました!』

もう寂しくはない。
構ってくれるという約束と
さっきまでのマルコの体温が
体に残ってる気がしたから。

『あ、もうサッチのおやつの時間だ!
マルコさんがお仕事終わるくらいに
またお部屋行きますね!』

じゃ、とキッチンへ向かおうとすれば
ぐいっと引き寄せられて
触れるだけのキスをされる


「やってくるよぃ。」

『…が、頑張ってくださいっ!』

振り返ることなくひらひらと手を振って
マルコさんは行ってしまった。

寂しさは何処へやら。

顔を赤くしたなまえが
サッチにニヤニヤしながら
理由を聞かれるのもあと少し。







(寂しさは全て貴方が消してくれる)






prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -