お化粧もして髪はいつもと変わって
下ろして丁寧に巻いた
新しく恋に効くという香水を
手首と首筋につければほのかにムスクの香

作ったチョコレートケーキを片手に
先生の部屋の扉を叩く

「入れ」

『スネイプ先生っ』

「……………みょうじ…か?」

『そうですよ?いつもと違うから
びっくりしましたか?』

「…………あぁ」

いつになく素直な先生を見れば
先生もこっちを見るものだから
なんだか恥ずかしくて私は顔を背けた

『…せ、先生!これ作ってきたので食べましょうね』

ほら、と綺麗にできたケーキを見せれば
先生がよくでいているなと褒めてくれた

ケーキを切り分けてテーブルに置けば
先生は机に向かうのをやめて紅茶をだしてくれた

『いい香り…』

「今日はアッサムだ。
いい茶葉が入ったと言うのでな」

『確かに香りが違いますね。
ささ!私のケーキも食べてみてください!
今回は甘さを控えてビターチョコで作ったんですよ』

スネイプ先生の為に
そう言いたかったが我慢をして
私のケーキを口に含む先生をじっとみた

『…あの、どうですか?』

「……美味い」

『っ…よかったぁ!』

私もケーキを食べれば
うん。美味しい!

「これから何処か行くのか」

『へ?』

「その化粧に髪」

『あ……いえ。特には。』

先生に少しでも釣り合えるように
少しでも大人っぽく見えるように頑張ったのだ
それに気がついてくれたことが嬉しかった

「そうか、」

『はい』

お互い黙ってお茶をする

カチャカチャとカップを
置いたり取ったりする音だけが聞こえる

『先生、ケーキはいかがですか?』

「あぁ、頂こう」

いつもは甘いものをおかわりしない先生がしたので
私は驚いた。しかも私のケーキで

『はいどうぞ』

ケーキを差し出せばすまんと声がした

「Msみょうじ」

『はい…?』


何を言われるんだろうと思っていれば
それは予期せぬ言葉だった

「お前は何もしない方がいい」

『それ、』

「無理に化粧をしたり髪を巻いたりするな。
お前はお前らしくいればいい
着飾る必要などない」

先生が私そのままでいていいと言ってくれている
こんな嬉しいことがあるだろうか

私は泣いた
先生は隣で肩をずっと撫でていてくれた

顔を上げた時もう彼に心の内を
言ってしまおうか、なんて考えていた

今ならこの気持ちをさらけ出しても
結果がどんな結果でも受け入れられる気がしたから
貴方なら私を優しく傷つけてくれるだろうから、



『先生、私ね、』










等身大のわたしを
(貴方はそのままでいいと言ってくれた)
(貴方に傷つけられるのならばそれでも構わない)




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