今は大好きな大好きなスネイプ先生の授業
この時ばかりは私もはりきって授業を受けます

そうは言っても羊皮紙に内容を写して先生を
じいっと見ているだけなんだけれどね

深みのあるバリトンは聞いていて心地好くて
いつまでもこの授業が終わらなければと思う

先生を見ていれば先生は休日とかは
何処かに出かけることってあるのかな
とか
今日もかっこいいなぁ
仏頂面だけどそんな先生も素敵!
でもでも!笑った顔も良いし
怒るときはちょっと苦手だけど
やっぱりかっこいいしなぁ
結局は私、先生大好きなんだよなぁ
とか

私が悶々と先生のことを考えているうちに
授業はどんどん進んでいて
先生が私をそれはそれは分厚い教科書で殴って
妄想の世界からこっちに引き戻してくれるまで
私はずっとあちら側にいたようで

バコッ

『あいた!』

「我輩の授業は受けなくとも余裕とはMsみょうじは
とても優秀であらせられるようだ」

クスクスと嘲笑が飛び交う

『すみません、』

先生は一度もこっちを見てくれないまま
私に授業終了後残るよう言って
他の生徒のところへ行ってしまった



授業が終わり他の生徒はそそくさと出ていく

『先生、』

私と先生以外にいた最後の生徒が出ていったのと
私が話かけるのはほぼ同時だった

「Msみょうじには机にある書類を分類し
アルファベット順に棚にしまってもらう」

『はい、先生』

私は黙って、
だけどちらちらと先生を見ながら
書類を仕分けて行く

『あの…スネイプ先生?』

「なんですかな?書類はまだ終わっていないように
見受けられるが」

『授業のことで…その、すみませんでした』

先生は杖を振りながら次の授業の準備をする
こちらは一切見ずに
その作業をする先生は淡々としていて
でもやっぱりどこかいつもと違う


「どうせくだらないことでも考えていたのだろう」

『それは違います!』

「では何を考えていたのだ?」

『…それは、』

貴方のことですなんて言えるわけがない
先生を見ればほらなと言わんばかりの顔

『あの、先生。せめてこちらを向いてください。
きちんと謝りたいんです…』

先生は私の言葉には耳もかさない様子
自業自得だけれど無視されるのはやはり悲しい
しかも自分の好意を寄せている人にされたらなおさら

『せん、せ…』

声が震える
やっぱり嫌われちゃったよね、
先生は出来の悪い子は嫌いって
前に言ってたもの

先生が歪んでよく見えない
だけど私はそれを拭って先生を真っすぐに見つめる
一瞬だけ先生が私を見た
それは本当に一瞬だけ

『先生、ごめ、…なさ、い』

私はそう言って地下室から地上へと
繋がる階段を駆け上がった

振り返りはしなかった
嘘。怖くてできなかった
もう貴方のため息は聞きたくなんてなかった








視線は交差しても
(もう心を通わせることは出来ない)




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