『ねーキスしてよ!』

そう言って目をつむって私に迫る彼女に
ため息をついてどうしようもないから
人差し指を彼女の唇に当てるのは何度目だろうか

「したぞ」

『また指!!わかるんですからね』

ぷくっと頬を膨らませてこっちを睨まれても全然怖くない
むしろ小動物のようで可愛らしいと思ってしまう

少しいたずらしてやろうと頬を両側から
優しく押せばプシューと空気の抜ける音

「くくっ、」

『っ!ルシウスさん!』

「くっくっ、あぁ悪かった悪かった」

『思ってないくせに』

ぷい、とそっぽを向かれてしまった
こうなると機嫌を直すのは大変なんだが
それが苦にならないのはきっとそれほどまでに
ユキに惚れているということなんだろう

後ろから抱きしめ頭を撫でてやる

「そう拗ねるな」

『ルシウスさんが意地悪するからだもん…!』

「私が悪かった、だから機嫌を直せ」

『ルシウスさんは、…………』

「どうした？」

『私じゃ、不満ですか？』

「なんだいきなり」

『いきなりじゃないです!
キスだっておでことほっぺだけだし
ぎゅうってしてくれるようになったのも最近だし、』


それに、と彼女は続ける

『私子供っぽいから嫌になっちゃったのかなって』

俯くユキを見れば声を殺して泣いていた
私は馬鹿野郎だ
彼女を泣かすまいとしていた行動が
結果的に彼女を苦しめていたのだから

首筋に軽く口づけ
その瞬間ユキの身体が強張る
しかしそのままこちらを向かせ
軽いキスからアダルトなキスへと変え
ユキを味わうように舌を絡めた

『ふぁ、ルシウス、さ…ん』

唇を離せば顔を真っ赤にして
私のシャツを握るユキがいた

「お前を壊してしまうのが嫌だった」

『ルシウス…？』

「お前を一度求めたらもう歯止めはきかない、だから」

次の瞬間私の唇にあったのは彼女の唇で

『私だって、そうですよ
愛してるから、貴方の全てが欲しいんです』


そう言って彼女は私を抱きしめた















(これからはいっぱいちゅーしてくれますね？)
(それだけではすまさんぞ)