表情豊かに

ふわりとした空気に目を覚ませば
隣にはいつもはいない君がいた

毛布に包まりその端をぎゅっと握る姿は
まるで赤ん坊のよう
彼女を抱きしめなおし髪を撫でていれば
彼女が我輩に擦り寄ってくる

『ん、』

「起きたのか」

『…せんせえ…眠、い、』

まだ呂律のうまく回っていない彼女がとても愛おしい
だがさすがに起こさなくてはと
彼女に軽くキスを送る

「ユキ、朝だ。起きなさい」

『やぁー…』

「朝食食べそこねるぞ」

『それも、やだぁ』

軽くため息をつけば今度は腕を背中に巻き付けられる
毛布の感触とユキの肌が温かい

ようやく毛布から顔を出したユキを見れば

『せんせーおはようございます』

と綺麗に笑った

「………おはよう」

だがそうではないだろう、と続ければ彼女は笑って
セブルスおはよう、と言い直す

「あぁ。おはよう」

二人で着替えを済ませ大広間に向かう

『もう離れちゃうんだね』

小さな彼女はもっと小さく見えた

「寂しいのか?」

意地悪く聞いてみればうんと
素直な答えが返ってきて
それほどまでに我輩といたいと
思ってくれていることがわかり
思わず口元が歪む

『先生は、寂しくないの?』

我輩のローブを引っ張り上目遣いのユキを見れば
思わず胸の奥が痛くなった

「寂しくないわけがなかろう」

『だって…いっつも私だけ寂しいって言ってる…』

「言わないだけだ」

『先生もちゃんと寂しいとか嬉しいとか言ってよ
じゃなきゃ私だけ恋愛してるみたいで…』

嫌なの

そう言って彼女は涙ぐんだ
そんな彼女にあわせて腰を屈めて涙を拭ってやる

「泣くな、お前が泣くと我輩まで気分が沈む」

『うんっ…も、泣かないよ』

「いい子だ」

そういって頬にキスをすれば呆然とするユキ
それに構わず歩き出せば後ろから追い越され
大好き!と彼女は楽しそうなつくづく嬉しそうに笑った

「そんなこと、とうに知っている」

少しだけ早まる足を自分では止められなかった


















(今日も泊まっていい…?)
(どうなってもしらんぞ)
(ん、…いい、よ…?)
(…!!)


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bkm
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