林檎を頂きます


どうしてこうなってしまうんだろう
重なる唇とそれを割って入ってくる舌の感触を感じながら
そんなことを頭の片隅で思った

唇を離せば満足そうな彼
口の端をぺろりと舌なめずりなんかするから
心臓がどくりと音をたてた

「ごちそーさま」

『もう、やだって言ったのに…』

「そんなことを言ったってユキも舌絡めてたでしょ?」

『…っ…、』

「ふふっ真っ赤ー」

林檎みたいだと耳元で言われれば背筋がぞくりとした

今はけろりとして私の手を引いて授業に向かう彼を
少しだけずるいななんて思いながらついていく

「珍しいねシリウスが授業にいるなんて」

「俺だってたまには受けるさ」

「ユキ、私の隣座る?」

行く、と言いかけた時
リーマスが私が言葉を発する前に話しはじめた

「ユキは今日は僕の隣に座るんだ
ごめんね」

「わかったわ。相変わらず仲がいいのね」

「まぁね、さっきも」

『あぁぁぁあ!リ、リーマス言わなくていいからっ』

「いいじゃないか付き合ってるんだし」

『リーマスは平気かもしれないけど
私には凄く恥ずかしいの!』

「そんな恥ずかしがることかなぁ?
舌入れただけじゃないか」

『それでも……あ…』

周りは一気に静かになって私に視線が突き刺さる

「いっちゃった!ごめんねユキ!」

あははとチョコを一口食べたリーマスの腕をつかんで私は教室を出た
理由は体調不良です。主に視線と心が痛くて。

彼を近くの空き教室に入れた

「もういきなりどうしたのさ?」

『さっきのわざとでしょ!』

「あれ、ばれた?」

『ばれるよ!』

「だって君を狙ってた男子は多いし
ユキは僕のものだって公言したかったからさ」

いつもの笑顔だけど清々しさが三割増しだった
小さくはぁとため息をつけば
せっかく授業さぼったしすることは一つだよね

と彼は後ろ手に鍵を閉め私にまたキスをした
やだという抗議の声もキスで消されて
また貴方に流されてしまうことを悟った





















(私が断れないのしってるくせに…)
(君が僕のものだって全世界に叫びたいよ)


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bkm
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