夫婦喧嘩は狼も食わない

『もういいよシリウスなんか!』

「あーいいよ、こっちだってそうだから」

『本当に別れちゃうんだからねっ』

「構わないぜ?」


またやってる
そう言って僕達は苦笑いをした
あれは幼なじみのユキとシリウスだ

いつも彼女たちは別れる別れないと
些細なことで喧嘩をしてはそんなことを言っている
僕なんかリリーにそんなこと言ったら
本当に別れられてしまうのにね

リリーとそんなじゃれあいができないのをちょっとだけ残念に思いながら
いつものように仲裁に入るリーマスを見ていた

「まったく君達は毎日よく飽きないね」

『違うのリーマス、こいつがね』

「俺は知らなかっただけだ。不可抗力だからな」

「わかったから一人ずつ、ね?」

じゃあユキからと言われ彼女は話しはじめた

「だってねシリウスがあたしが大事に取っておいたプリンを
食べちゃうんだもん!」

「謝ったろ」

『だけど反省してないでしょ!
食べるの楽しみにしてたのに
いつの間にか食べられてた私の気持ちが分かる!?』

「まぁまぁユキープリンならまた買えばいいじゃない」

僕が口を挟めば一斉に四人の目がこっちを向いた
なんだよピーターまで
僕しょげるぞ

『ねっひどいよね!?』

「そうだねぇ、それはシリウスが悪いけど
謝ってるんだし許してあげたら?」

「ほらなユキ」

『むぅ…』

「パッドフット、元々は君が悪いのを忘れないようにね」

「…はい」

「はい!じゃあ二人ともごめんなさいして」

ユキはすぐ許さなかったこと
シリウスは食べちゃったこと
謝りなよ、とリーマスが言えば渋るの声

「謝る、よね?」

出た。黒リーマス
この笑顔なのに目はいかにも怒ってます的な感じ
これに堪えられた奴を僕は見たことがない

「『はっはい!』」

「よろしい」

「ユキ、その…悪かったな。
今度ホグズミートでプリン買ってやる」

『私こそ、意地張ってごめん…
別れるとか言ったけど』

大好き、と彼女はシリウスの頬に口づけた

僕がキスした、と認識する前に離れた彼女に
ぽかんとするパッドフット
君その顔すごく間抜けに見えるよと教えてやりたかった
でもそんなことしたら雰囲気台なしじゃないか

「俺も!」

シリウスはユキに飛び掛かろうとした時
リーマスに首根っこを捕まれ
ユキは今度はお母さんのようになったリーマスに
こっぴどく怒られていた


しゅんとする二人だけど
後ろで繋がっている手を僕は見逃さなかったからね
後で言ってからかってやろうと
僕はリリーを探しに出た


















(リリー!)
(もううっとおしいわね!)


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -