それは少し違う味がした

『リーマス!』

図書館を出てすぐに後ろから
誰かに名前を呼ばれた
振り向かなくたってわかる
どれだけ彼女を思っているか
君は知らないんだろう

彼女にわからないように
自嘲の笑みをこぼす


「ユキ」

ユキが小走りで駆け寄ってくる
そんなとこも可愛らしいな、なんて
僕もかなり重症だな


『リーマス、リーマス!
このあとね、みんなと湖の辺ででランチでも
って思ってるんだけどリーマスも一緒に食べない?』

「そうなんだ、じゃあ行こうかな。」

『よかった〜。みんなで食べた方が
ごはんは美味しいもんね!』

よほどリリーやシリウスと
みんなで食べたかったのだろう
最近はそれぞれ忙しくて
揃って食事なんて久しぶりだったから

「じゃあ行こうか。」

僕がユキに微笑めば
ユキはふにゃりと笑顔を返してくれた


湖へ行けば僕達以外は全員揃っていて


「おっ、きたきた!ユキ〜、リーマス〜!」

「おかえり〜ユキ。僕お腹減っちゃったよ〜」

「ユキ、リーマスのことありがとう。」

と気に寄りかかって寝ている
シリウス以外がユキに声をかける

『うんっ!もうお腹ペコペコ。
早く食べよう?』


僕たちは敷いてあるシートの上に座る

『もう!シリウス、シリウスったら!』

寝ているシリウスをユキが
揺すり起こす
その当たり前な行動さえ
なにか気にくわない

「んー、んぁ。ユキか。」

『皆揃ったよ、食べよう?』

シリウスを起こしたユキが僕の隣に座る
そんな単純なことで僕の機嫌は
すぐに元に戻るんだ

『ではでは、いただきまーす!』

「「「「「いただきまーす!!」」」」」


もくもくと黙って食べるピーターに
リリーとジェームズはいつものように
犬と飼い主のような感じで
シリウスはまだ寝ぼけているのか
たまにかくりと体が揺れる

隣を見ればジェームズ達をみて
楽しそうにサンドイッチを頬張るユキがいた

『ふふっ、美味しい〜。』

「うん、美味しいね。」

ひとり言を聞かれていたのに驚いたのか
目を見開いたかと思うと
またあの僕の好きな笑顔が見れた

「ユキはサンドイッチが本当に好きだね。」

『だって美味しいじゃない!』

「そんなに急いで食べるから…ついてるよ」

それは本当に無意識だった
僕はユキの口の端についている
サンドイッチのカケラを
とってやり自分の口に入れた

「ん、この味付けいいね……ってユキ?」

『〜〜〜っ!!リーマスゥ…!』

「…あ、ごめんごめん。」

僕は軽くユキに謝ると
ユキはまた食べはじめた
それはそれは顔を真っ赤にしながら

「…お前ら、イチャつくなら他所でやってくれ。」

「見てて恥ずかしいわ…。」

「ぼ、僕、見てないからねっ」

「…リリー!僕らも違うところに行かないか?」

「馬鹿言わないでジェームズ。」



二人のやり取りにわっと場が湧いた
隣にユキがいて、友人達がいて
こんな幸せがずっと続けばいいと思った











(君が関われば全て素敵に見えるんだ)



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