強行手段入ります


「ユキ」

『はい、これですよね』

「すまない」

『いえ』

この会話以外鍋の煮だつ音しかしない空間が
これほどまでに苦痛でないのが不思議だった
いつもと同じ日常、だけど日常的に教授は忙しい
魔法薬学の授業の準備に
レポートの採点に論文、寮の寮監まで
一日中働いていていつ寝ているんだろうと考えるほど

手に持っている本から顔を少しだけ覗かせて広い背中を見つめる

「そんなに見られると困るんだが」

調合が終わったのかガラス瓶にそれを入れて棚に置く

『教授がかっこよくって』

本を置いて私はあるものを口に含み
教授に近づいてキスをした
口に入っていたものを教授に飲ませ終わり
唇を離せば不機嫌そうな彼が目にうつった

「お前、」

『教授は働きすぎです。ちょっとは休まないと』

「だか、らと…っ、」

意識を失いそうな教授を抱きしめて
おやすみなさいと小さく呟いた
ごめんなさい、教授。でも心配だったの。
許してください、と独り言が宙を舞った

魔法で彼をベッドに運び自分も彼と一緒に
毛布にくるまる
やっぱり少しだけ飲んでしまったみたい
眠気が私を襲う
それに抗わず私は瞼を下ろした




それから目が覚めた教授にひどく怒られて
ちょっとだけ感謝されるのをその時の私は知らなかった














(後で覚えておくんだな)
(教授が好きだからやったんですよ?)
(…………今回だけだ)


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bkm
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