狡猾な君は苦し

『レギュラス!』

「また貴女なんですか、」

俺は女なんて皆一緒だと思ってたんだ
顔と顔がよけりゃいくらでも寄ってくる、そう思ってた
レギュラスにちょっかいを出すユキは例外中の例外らしい
この俺に貴方って可哀相ねなんて言ってみせた
それからだあいつが気になり始めたのは

『それでね、…』

「え……ははっ、それはそれは…」

レギュラスが笑った
学校では滅多に笑みを見せないあいつが
その光景が酷く不愉快だった

俺はレギュラスの隣のあいつの腕を取り
空き教室に向かった
後ろから非難の声がするが今の俺には聞こえない

『…っなにすんのよ!!』

「黙れよ」

彼女を机に押し倒しキスをしようとした
もう少しで首筋に触れるか触れないかのところで
彼女がこう言ったんだ

『だから貴方は可哀相なのよ』

「……んだと?」

『身体を重ねれば快楽は得られるでしょうね
でも終わったあと虚しいんでしょう?』

「…!」

『それは貴方にも相手にも愛がないから。
相手にはあったとしても、貴方にはないから。
貴方は愛を知らない、だから』

虚しいのよ、と彼女の声と同時に心臓がどくんと脈打った

図星だった

乱れたシャツを正して彼女は去り際に言ったんだ

『わからないなら教えてあげるわよ?
まずは私を好きにさせてみせて』

とニヒルな笑顔を浮かべて彼女は出ていった
俺は扉から目が離せなかった
そこにはもうあいつはいないのに


「あー、…」

はまったなと俺は小さく呟いた



















(久しぶりに恋をした)


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bkm
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