大人になりたくて


情事の後のけだるさが全身を包む
だけど髪を優しく撫でてくれる
大好きな人がいるからこんな一時もいいな
なんて思ってしまう

顔を上げて彼を見れば
優しく額にキスをしてくれて
ぎゅうっと強くもないが
決して弱くもなくだきしめてくれた

そんな彼を私は時々とても大人に感じる
だって私にはそんな包み込むようには
あなたを抱きしめられないから

「ユキ?」

優しい声が上から降ってくれば
笑顔でそれに答える

『なぁに先生』

「今は二人きりだよ。約束したじゃないか」

なんて頬を膨らます年上の彼が
なんだか幼く見えて少し笑ってしまった

『ごめんね、リーマス』

「ん、よし。でさユキ
さっき何か考えてた?」

「…ううん、考えてないよ」

そういって笑えば彼は
私の頬をむにむにと触る

『にゃにしゅんのよぅー』

「ユキが嘘をつくからだろう?」

頬から手を離して私に深い深いキスをした
リーマスのキスは甘くてくすぐったくて
だけど官能的でもあってすぐ力が抜けてしまう

『ん、ぅ…ん、ふぁ…』

水音がやけに大きく聞こえる
苦しくてリーマスの髪を軽く引いた
するとふにゃりと力の抜けた私から離れる彼

「さぁ言う気になったかい?」

『…、本当にたいしたことないんだよ?』

「構わないよ。僕はユキが
僕に隠し事をするのが気にくわないんだ。」
そう言われ抱きしめられれば
もう私には言うという選択肢しか残ってはいないのだ

『あの、ね。私、時々リーマスのこと
すごく大人だなぁって思うの。
歳も一回りも二回りも違うからかもしれないけれど…。
でもね、それでもリーマスと同じ目線になりたいなって、
ちょっと寂しくなっちゃっただけなの。』

「はー、そんなことかぁ」

心配して損したなんて言う彼に
私は少しだけムカッとした

『そんなことじゃないわ!』

私には寂しくなるくらいの思いがあったのに

「そんなこと、だよ。今僕は君を愛して
君は僕を愛してくれてる。違うかい?」

こくりと頷けば彼は起き上がり
私を膝に乗せ後ろから抱きしめた
体温と体温が合わさって気持ちがいい

「だから私は歳なんか、ましてや
ユキが大人であるかなんて
もっと関係ないんだよ。
ユキが私の隣にいて笑っていてくれたら
私は寂しくなんかないんだ。幸せなんだよ。」


彼の言葉が嬉しくて涙が溢れた
もう不安だとも寂しいとも感じなくなっていた
この人を愛していけばそれだけで私も幸せだと思った


「泣かないで、ユキ。
あんまり泣いてると襲ってしまうよ?」

小さな声でいいよと言えば
視界がぐらりと揺れ柔らかなベッドに押し倒され
涙をペろりと舐められた

『大好き、大好きよ。リーマス…』

キスをねだればちょっとしょっぱい味がした
だけどすぐに甘い味に変わったのは
きっと魔法でもなんでもなくあなたの愛なんだと思った














(リーマス、腰痛いよ…)
(ユキがかわいいから
抑えが効かなかったんだよ)


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bkm
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