恋心を君に


今日もアンジェリーナの肩ごしに彼をみるの
あの屈託のない笑顔
笑うと細められる瞳
風になびく紅葉のような髪

全部言っていたらきりがないほど
わたしはジョージが好き


「また見てるの?ユキ」

『うん』

「見てるだけじゃなくて話せばいいじゃない。」

『だって、恥ずかしいよ…』

「でもそれじゃ発展しないと思うわ。」

『うん…』

「全く、もう!」

そう言ってアンジェリーナは
黒板を写す作業に戻った

彼女が前を向くことで広くなった視界
するとジョージと目があった
にこっといたずらな笑顔をすると
ジョージは隣の自分によく似た顔に話しかけた

なんて良い日なんだろう
これだけのことでわたしの心は跳ねてしまうのだ



授業も終わり皆次の授業へと移動していく
アンジェリーナはわからない所があったのか
質問をしに行く
わたしはそれをぼーっとしながら待っていた
だいたいは早く聞き終わり
一緒に移動できるのだが
今日はそうもいかなかったらしい

「あぁ、ユキ!今日はまだ質問終わらないの!
先に行っててくれる?」

『大丈夫よ、待ってるわ!』

「ユキまで遅刻させるわけにはいかないわ!
あっ、ねえジョージ!」

アンジェリーナはたまたま一人だったジョージを呼んだ
いつもフレッドやリーといるのに
珍しいなと思うのもつかの間

「ジョージ、ユキと次の魔法史の授業に
一緒に行ってあげてくれない?
わたしまだ質問が終わらないの。」

『アンジェリーナ!』

アンジェリーナは何を考えているのやら
わたしは彼と目が合うだけで
すごく恥ずかしくなるのに
ましてや一緒に授業に行くなんて!

「俺は全くもって構わないぜ」

「じゃあユキをお願いするわ。」

「了解!じゃあユキ、行こうか。」

『あっ、うん!』

アンジェリーナがぱちんとわたしにウインクをした
もう!後で覚えておきなさいよっ



ジョージの隣を歩きたいが
彼の歩幅とわたしの歩幅には
かなりの差があるため
どうしてもわたしが小走りになってしまう

「あっユキごめん、早かったな」

そう言われぽんぽんと頭を撫でられた

『…う、ううん。』

ジョージは歩くのをゆっくりにしてくれた
些細な優しさもジョージを好きになった理由の一つだった

「ユキってさ好きな奴、いるの?」

『えっ』

あなたです。なんて言えるはずもなく
小さくうんとしか言えなかった

「そっかー、俺もさ。いるんだ、好きな人」

ジョージに好きな人がいるなんて聞いたことがなかった
ジョージが好きなった女の子は
わたしよりはるかに可愛くて
ずっとずっと頭も良いんだろう

「その子静かな子なんだけどいつも笑ってるんだ。
いっつも幸せそうでさ。
でもちょっと抜けてて。
ま、そこも放っておけない感じでさ。」

本当はそんな話聞きたくない
知りたくもない
だけど必死に涙を耐えながら聞くの
だってジョージが好きだから


『そ、うなんだ』

「でもその子恥ずかしやり屋みたいで
なかなか俺と話してくれないんだ。
いっつも逃げられちまう。」

はは、と笑うジョージの一方で
わたしは下を向いて歩いていた

「でもそんなとこも全部好きなんだ。」

ああ、さようならわたしの恋
見ているだけだったけど幸せだった
ジョージが幸せならわたしも幸せ
と彼の幸せを心の中で祈った

「誰のことかわかる?」

ジョージの問いにわたしはふるふると
首を横にふった

「本当に鈍いなぁ…。
じゃあ最終ヒントだぞ?よーく聞けよ?
俺が好きで守りたい存在は
今俺の隣で俯いてる泣き虫な誰かさんだ。」

それもう答えって思ったのは
びっくりして彼を見上げたすぐ後だった

顔を上げるとそこにはわたしの好きな
いたずらが成功した時のような
ジョージの笑みがあった

「ユキ、泣くなよー。
それは何泣きなのさ。嬉し泣き?それとも
俺を振るから慰めの涙?」

そう言って屈んでわたしの涙を指で拭ってくれた

『…嬉し、泣き。』

「…では、改めて。
ユキ、僕と付き合ってくれますか?」

涙を拭ってくれた彼の手を握りながら

『喜んで。』

そう言うと不意打ちに触れるだけのキスをされた

「ユキが可愛い顔するのが悪い!
あ、ほら授業遅刻するぞ!」

とジョージはわたしの手を握り歩いて行く
嬉しそうなジョージを見て、繋がる手をみて
わたしはこの時をひどく幸せに思った














(ちなみにユキが俺を好きってバレバレ。)
(え、(隠していたはずなのに…))


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