寂しさの沸点


*現パロです














ルシウスさんはいつも忙しい
あの大企業の社長さんだもんね
それ故にいつも予定はキャンセル
最初は大変そうだなとか
彼の身を案じていたけれど

いや、身を案じているのは今もか。

会う約束がなくなっても不安より
疑惑の思いが大きくなっていた

本当に仕事なの?

そんな汚い思いが今日もまた
ルシウスさんからの電話で募った

「もしもし、ユキか?今日の食事と映画だが、」

『わかってます。キャンセル、ですよね』

「……あぁ。すまない。この埋め合わせは必ずする。」

『…はい。じゃあまた』

いつもそうじゃない。
キャンセルだ、埋め合わせはするって
今日も前の埋め合わせだったはず

『ルシウスの馬鹿…』

そうルシウス本人に言うべき言葉は宙を舞った

あまりにも虚しい気持ちでいっぱいだったから
幼なじみのセブルスに電話をかける
着信音を聞いているだけでなぜか泣きそうだった

「…はい。」

低いルシウスとは違う声が聞こえた

『セブルスゥ。』

「な、なんだ。またキャンセルか?」

泣くまい泣くまいとしても溢れる大粒の涙

『う、ん。もう私…疲れちゃったよ…』

「その、あれだ。ルシウス先輩だって仕事で、」

『…本当に仕事なのかなぁ?』

「それは……わからんが、だが」

信じたらどうだと言うセブルスの声が
いつもより優しくてまた泣けてきた

私はこれ以上電話をしていても
彼の邪魔になるだけだから電話を切った

それからたくさんたくさん泣いた
ルシウスさんに聞けばいいことだろうけど
聞けない自分も嫌で疑ってしまう自分も嫌で
でもルシウスさんが大好きで
どうしたらいいんだろうと考えているときに
玄関のドアがガチャリと開いた


そこにはルシウスさんがいた

「何をやっているんだ電気も付けずに。」
はぁ、とため息をつきながら
電気のボタンを押した彼

明かりが灯り私と目があった彼の顔は
なんともいえない表情をしていた

「ユキ、なぜ泣いて…」

私は何も言いたくなかった
ルシウスさんに自分で気がついて欲しかった
私をもっと構ってっていう
ちょっとした反抗心でもあった

「黙っていてもわからないだろう。」

私の隣に座り覗き込むように見てくる
そんな優しいところも大好きだけれど
今の私には逆効果になっていた

「おい、ユキ。私は忙しい。また会社に
戻らなくてはならない。」

だから早く言えってこと?
その言葉に私の何かが切れた

『…ぁ、……い。』

「なんだ?」

『じゃあ、帰ってくださいよ!!』

私は涙を流しながらルシウスさんに叫んだ
こんなに感情を彼に見せたのは初めてかもしれない

『忙しいのはわかる。私だってルシウスさんの
働いてる姿大好きだから…。
でもっ、もう私堪えられなっ』

全部言い終わらないうちに
ルシウスさんに抱きしめられていた

『ぅ、離して、ください。』

「離さん。」

『っ!離してよぉ!』

ルシウスさんの胸の中でもがく
でもルシウスさんの拘束力が強くなるだけだった

「…ユキ。本当にすまなかった。
仕事仕事でずっと会えなかったしな。
寂しくさせていたんだな、すまん。」

『ふぅ、…ルシウスの馬鹿、きらい、きらいよぉ』

そういってルシウスさんの胸を力無く叩いていたら
ぐいと上を向かせられ唇を奪われた

舌は私をみつけると這うように
絡めて離してはくれなかった
苦しいけれどそれはとても幸せな
愛の溢れるキスだった

唇を離せば切ないような顔をした
ルシウスさんがいた

「私が悪かった、だから嫌いだなんて言わないでくれ」

そういってぎゅうっと抱きしめてくれる
あぁ、この人も寂しかったんだなってそう思った

『私も言い過ぎました。ごめんなさい…』

「いや、私がユキをなおざりにしたからだ。
今までの分今日はずっと一緒にいよう。」

『えっでも会社は…』

「セブルスにでも任せよう。」

『(セブルスごめんね、ありがとうっ)
ルシウスさん…っ』

彼に私からキスをすれば
数倍甘く、蕩けるようなキスでかえってきた




また明日から会えない日が続くけど
きっと私は大丈夫
想いはいつも繋がっているから












(そういえばなんで来てくれたんですか?)
(電話で様子が変だったから気になってな)


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