お菓子な紳士


なんてことのない普通の休日
ユキはいつものように
談話室で紅茶を入れ読書に勤しんでいた。


談話室には人も少なく
集中して読んでいた…はずだった。


「やぁユキ。読書かい?」

同じグリフィンドールの
クリスが話しかけてきた。

『こんにちはクリス。
あなたから借りた本を読んでいたのよ。
これとっても面白いわね!』

どんどん入り込んだわ、と
興奮気味にいうと
彼ははにかんだ笑顔で良かったと言った。
そういえば彼は何をしにきたのだろう

『クリスは何か用事でも?』

そう問えばいきなり彼の口ぶりが鈍くなった。
しばらくあーでもないこーでもないと
唸っていた彼だったが顔を上げ私に向き直った。


「僕は…君に言いたいことがあるんだ!」

『何?あ、あれね!この著者の新作が、』

「僕は君か好きだ!!」

『発売…って、…えぇっ!?』

「返事は今じゃなくて構わない。
だから僕と付き合うこと真剣に考えてくれないか。」


クリスはそう言うと呆然とする私をおいて
私の頬に小さくキスを落として
部屋へ引き返していった

キスされた頬があつい。


ガチャ



入ってきたのはシリウス。

ようユキ、なんて挨拶をして
今の状況も私の気持ちもわからないくせに
ドサッとソファーに腰をおとし
呑気に私の紅茶を飲んでいる


ポンポンとソファーを叩かれれば
ここに座れということだろう。

私は大人しく隣に座った。


「お前のいれる紅茶は上手いな。」

いつもはそんなこと言わないシリウスがそんなことをいうので思わず笑ってしまった。

「なんだよ、」

と不服の声。

『だってシリウスいつもそんなこと言わないじゃない。ふふ、だからおかしくて。』

「お前な、……。」

なんだかいつもよりシリウスが静かだ。

『ちょっとごめんね』

私は彼のおでこに自分の手を乗せ
体温を測る

『んー熱はないみたいね。』

とふざけてみるものの
シリウスは俯いているだけだった。

『シリウス?本当におかしいわよ。
今日はちゃんと寝たほうがいいわ。』

「い、いや。大丈夫だ。」

『だめよ!きちんと寝てまたお茶しましょ』

ね、と念をおすと彼は静かに頷いてくれた


男女で別れる階段まで来たら
いきなりシリウスがひざまずく

『シリウス!?』

「好きだユキ。ずっと前から。
今以上に幸せに、大切にするから
だから俺と付き合ってくれないか。」

私の手の甲にキスをした

「で、お返事を頂けますかお姫様?」

上目遣いで口角を軽くあげて笑うシリウスはひどくかっこよくみえて
クリスには感じなかった感情が私を取り巻いた
それは心地好く温かいもの。


『こ、こんなのずるいわ。』

断れないじゃない、
と言えば嬉しそうにシリウスは私を抱きしめた

「やっと手に入れられたな。俺束縛激しいから覚悟しろよ?」

『ふふ。ほどほどにしてほしいわね。』

「あ、ユキが彼女だって公言しないとな。
でも最初はあのクリスからだけどな。」

『な、なんでそれを!?』

「あ?談話室入ろうとしたら聞こえたんだよ。」

『じゃ、じゃあ…』

「あぁ見たぜ。キスされてるのもな。」


耳元で低く囁かれるとぞくりとしたが
それを隠すようにシリウスに言い返そうと顔を上げると頬に柔らかい感触

『……。』

「消毒な、」


意地悪なシリウスをみて
またずるいなんて思った

嗚呼、でもクリスになんて言おうかしら。

彼氏ができましたでいいんじゃないか
なんていうシリウスに敵わないななんて思っていたのは悔しいから内緒。









(シリウスってずるさからできてるのかしら)
(クリスが告白したのに焦って告白を早めたなんてカッコ悪くて言えねぇ)


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bkm
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