ひゅーひゅーと音を立てている風はいつもより冷たくて
大きく呼吸をすれば冬の香りがした

『さむ…、もっと着込めばよかったなぁ』

昼間は暖かったから油断していた
ローブを着ていないのは私くらいだ

しょうがないと諦めて私は図書館へと向かった

夕方から夜へと変わる時間帯に
此処を使う人は少なくて勉強するにはぴったりだ

教材を机に置いて天文学の本を取りに行く
あれでもないこれでもないと探していれば
もう周りには誰も人がいなくなっていた

本を片手に机へ戻れば珍しく小説だろうか
本を読んでいるリーマスがいた

「お帰り」

『え、あ、ただいま』

「へぇ、今日は薬学か」

『レポートでわかんないとこあって』

「ふぅーん」

彼はまた本に目を戻した
何で此処にいるのとか
本読むなんて珍しいねとか
いっぱいいいたいことがあったけど
邪魔しちゃいけないと私は机に向かった

カリカリ、パラ、パラ
二つの音しか聞こえない空間
だけどいきなりリーマスが声を発した

「全く」

全く、と突然聞こえた言葉に
私は羊皮紙から彼へと視線を上げた

「はにーだって女の子なんだから
身体は冷やしちゃだめだよ」

そう言って自分のローブを私にかけてくれた
ふわっとリーマスと甘い香りがした

『ありがとう、リーマス』

「…そんな顔…、」

『私変な顔してた?』

「もーはにーうるさい、黙って」


次の瞬間私の視界は彼だけになった
軽くキスをされて離れて見つめ合えば
またどちらともなく唇が重なる

『リー、マス…』

「優しいのは今日だけだからね。」

そう言っておでこにキスをしてリーマスは笑った

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