甘ったるい匂いが充満している店内で
紫やら橙やらなんだか気色悪い菓子を片手に
我輩は何をしているんだとため息をついた

それもこれもこの忌ま忌ましい
“ハロウィン”のせいだ

今日は一段と騒がしく彼女はやってくるんだろう
去年は南瓜の着ぐるみだったか

嗚呼そうだ。我輩は去年から学んだのだ
着ぐるみをきた***が近寄って
お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!なんて言った
もちろん菓子など我輩が持っているわけもなく
……その後のことは考えるだけでおぞましい…!






へっくしっ!
風邪かな?首を傾げて自分の来ている衣装を確認する

今回は芋虫にしようかと思ったが
何故かハーマイオニーに止められた
こっちにしなさいと渡されたのは
猫耳カチューシャに真っ黒なワンピース
ワンピースにはご丁寧に尻尾つきときた

こんな可愛いの似合わないと抗議をしたが
全て無駄に終わったそしてハー子超こわかった

まぁ実際着てみれば
なかなか様になるようで
フレッドとジョージに見せれば

「「さすが僕たちのプリンセス!」」

と頬にキスを頂いた
あ、キスはいつもか

グリフィンドールの寮に別れを告げ
毎日行っている魔法薬学教授の部屋へ行った

『せんせー!』

「ノックしろ!」

でこぴんをされた
地味に痛いんだよわかってる?

『はいすいませんでしたっ!
で!で!で!』

とりっくおあとりーと!

とだけ言えばほら、と手に小さなクッキー
あ、これかぼちゃ型だー
包みを開け口に放り込めば
さくさくとした音にふわりと甘さが広がる

『おいしー!先生これすごくおいしい!』

「そうか」

先生はそれだけ言って私の頭を撫でた
私頭を撫でる時の先生の目を細める仕草が
私は大好き
これを見ちゃうととことん甘えたくなってしまう

「紅茶でもいれよう」

そういって彼はお湯を沸かし始めた
私はソファで大人しく待つように言われ
ソファに腰を落として部屋を見渡せば
もうちょっとでハロウィンだからと
私が持ってきて勝手に置いた
ゴーストの置物がこっちを見ていた

あんなにやめろって言ってたのに
結局は飾ってくれてるんじゃん
私は嬉しくなって彼の背中に抱き着いた

「危ないから離れろ」

そういう間にもテキパキと手を動かす先生
顔を先生のローブに埋めながら
またとりっくおあとりーとを唱えた

「さっきも菓子はやっただろう」

『今食べたいんです!』

「あっちにあるから食べていなさい」

『先生からじゃなきゃ嫌』

「わがままを言うな、我輩は今紅茶を」

私はぐっとローブを引っ張り屈んだ先生にキスをした
びっくりして目を見開いた先生を見るのはすごく楽しい

『先生がお菓子くれないからですよ?』

先生は一瞬驚いたような顔をして
私の耳元で何かを囁いた

「では***、我輩にも頂けますかな?
……Trick or treat、だ」

お菓子をポケットから出そうとしたが
これは制服じゃない
ということは、だ
お菓子を持ってないということ

『あの、ですね先生、今から取って』

「ならん。ならば悪戯ですな」

そういって彼は私を引き寄せキスをした
先生もクッキーを食べたのか甘い匂いがした
お揃いだなぁ、なんて一人嬉しく思った



蝙蝠とキス





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