硝子越しに君を想う


今日はヴォルさんに付き添ってもらって
ダイアゴン横丁に来ています
それはもう素晴らしい嫌がりでしたが
なんとか連れて来てもらいました

『ヴォルさ…』

「此処で、私の名を、気休く、呼ぶな!」

彼を呼ぼうとすれば口を塞がれた
顔を魔法で変えているんだから
名前くらいいいじゃないかと反論すれば
素晴らしく痛いでこぴんを頂いた
あれはもう指の威力じゃない

これ以上機嫌を損ねても困るので彼の腕に手を回し歩き出した

「…腕を離せ」

『友達だったら普通ですよ?』

そう言えば顔はすごく嫌そうだけど
振り払おうとはしなかった

『さて、どこに行きましょうか?』

「決めてないくせに私を連れ出したのか」

『だってお屋敷退屈なんですもん』

「ナギニと遊んでいればよかったものの」

『ナギニちゃんはもう冬眠する時期が近くて眠いんですって』

「……ルシウスは」

『いないです。前に好きに過ごせって
皆に言ったのは貴方じゃないですか』

思い出した様にあぁという彼

「…ルシウスといえばパーティーの招待状が来ていたな」

『パーティーですか!?いいなぁ、私も行きたいですー』

ちらりと斜め上の彼を見る

「…うるさいから駄目だ」

『大人しくしますから!』

「駄目だ。」

『お願いしますよー、…じゃなきゃここで名前を』

「……本当に静かにしていろよ」

『やったぁ!ありがとうございます』

彼に抱き着けばうるさいと嫌そうな顔をされた
いい加減ひどいと思うなその表情


それから二人で色々なお店を見て
レターセットとナギニちゃんへのお土産として
おっきな鼠のお肉を買った
そうは言っても買ってくれたのはヴォルさんなんだけど

疲れたとぽつりと言えば私の手を引いて
彼は小さな喫茶店に入った
レトロな雰囲気がとても素敵だ


「いらっしゃいませ。ご注文は」

『私はカプチーノを』

「ブラック」

「かしこまりました」


私は鏡ごしに横丁を歩いていく魔法使いたちを見ていた

『たくさん魔法使いがいるんですね』

「そうだな」

ぼうっと見ていたらお茶が運ばれてきていたようで
ヴォルさんが声をかけてくれるまで気がつかなかった

一口飲めば程よい苦みと甘さが広がる

『ん、美味しい』

「普通だな」

『ヴォルさんって本当に正直ですよね』

「悪いか」

『いえ。素敵だと思います』


少しだけ柔らかくなった彼と談笑をしていたら
外に見覚えのある人がいた
久しぶりに見た横顔は疲れているようで
いつもより顔色が悪かった


「おい、もうそろそろ帰るぞ」

『………』

「聞こえてるのか」

『……は、はい。』

「…だれかいたのか」

頷き恋人が、と答えれば
彼は腕をつかんで姿現しをした

歪む視界の中でホグワーツの記憶が蘇った



















(今すぐ抱き着きたいけどできない私を許して)
(なんだ、この気持ちは)


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bkm
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