気持ちの整理と癒し


目が覚めて時計をみればもう夕方だった

『随分寝ていたのね…』

ふぁ、と欠伸をすればカツンと窓が叩かれる音がした

窓をあければナギニちゃんがいた

“お久しぶりです”

『ナギニちゃんっ!久しぶりー!』

ぎゅうっと抱きしめれば苦しいです
とナギニちゃんが言った

“お元気そうでなによりです”

『ナギニちゃんも』

ナギニちゃんとしばらくお話をしていれば
ヴォルさんが部屋に入ってきた

「気分はどうだ」

ずきりと一瞬胸が痛んだが大丈夫ですと答えた
この屋敷に来ても彼のことばかりが
私の脳内を支配していたから


「私はこれから留守にする
ナギニ、優季と屋敷を頼んだぞ」

“はいご主人様”

『いってらっしゃい』

ヴォルさんは私とナギニちゃんを撫でて
バチッという音と共に消えた



ヴォルさんがいなくなった瞬間
はぁ、とため息がもれた


“優季様”

『ん?』

“大丈夫ですか……?”

『うん…、大丈夫だよ』


それきりナギニちゃんは何も言わなかった
ナギニちゃんの優しさだろうなぁ
それが何より嬉しかった

二人でお茶をしていればヴォルさんが帰ってきた

『お帰りなさい』

「あぁ」

ローブを受け取ればなんだか
新婚さんみたいだなぁなんて思って苦笑い


『今日は何をしてきたんですか?』

「次の制圧地区の下見とか色々だな」

『それはお疲れ様でした』

お茶はと問えば飲むと一言

「ふっ」

いきなり笑い出した彼

『ど、どうしたんです?』

「いや、世界を壊そうとしてる私に
お疲れ様というお前がおもしろくてな」

『そういえばおかしな話ですね』

ヴォルさんといるとなんだか落ち着いて心地がいい

素直にそう言えば馬鹿な奴だだなんて言われた


少しだけ、ここで少しだけ気持ちの整理をつけよう

色んなことのけじめをつけなきゃ


ヴォルさんの手が頭に乗ったかと思えば
無理はするなよと言う言葉

……やっぱりヴォルさんは世界を壊すのには
向いてないと思うなぁ


そう思わない?とナギニちゃんに言えば
苦笑いをされた夕日が綺麗な日だった







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