安堵を引きだしにつめて


何処かで狼が鳴いてるのか
遠吠えが聞こえる満月の夜

暗闇の中窓を開けていれば遠くから翼を羽ばたかせる音
目を凝らせばノーブルがいた


私は窓ギリギリまで近くによったノーブルの背に乗り
寝ている皆を起こさないように部屋を出て湖の辺まで来た

『ノーブルお疲れ様』

“どうってことない”

『でも疲れたでしょう?あの人は、
…ヴォルさんは優しくしてくれた?』

“あぁ、とても”

『よかったぁ…』

ほっとしてノーブルを撫でれば
手紙を渡してくれた

『お返事、くれたの…?』

“あぁ。それにとても真剣に優季の手紙を読んでいた”

『そう…』

嬉しいやら恥ずかしいやら
私はそそくさと手紙を開いた

「“To 優季


お前はやることがいちいち突拍子もない
驚かされるこっちの身にもなれ

それにしてもお前が元気なのは手紙からよく伝わった
私にもその力強さを分けて欲しいくらいだ

こちらは何事も変わりない
ナギニも時たまお前のことを言っているぞ
会いたいとな。
来るなとは言わないがお前の場合
調子に乗って何度も来ないように

追伸
最近寒さがひどい
お前は我慢強いところがあるが
あまり無理はするな

ナギニの写真も同封しておいた
感謝しろ


fromV」


読み終わりナギニちゃんの写真を見れば
こちらにしっぽを振っている
やっぱりかわいいな


“嬉しそうだな”

『とっても嬉しい
まさかお返事くれるとは思わなかったし
写真もあるの!』

笑ってノーブルにナギニちゃんを見せれば
よかったなと目を細めた

『今度のお休みにでも行ってみようかな
そうなったらヴォルさんの所に連れていってくれる?』

“構わないぞ”

『ありがとう!
さて、今日はもう遅いし寝ましょう?』

“そうだな”


ノーブルの背中に乗って部屋に送ってもらえば
ノーブルは小さく鳴いて何処かへ飛んで行ってしまった


私は引きだしに手紙をそっと入れ
ベッドに潜りこんだ
いつもなら冷たいと感じるシーツが
今日は少しだけ暖かい気がした






















(よかった、変わりがなくて)


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bkm
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