わかっていたはずの事


『ごめんなさい』

「うん、…わかってたんだ。
君に付き合ってる人がいることくらい」

セドリックは困ったように
だけどいつもと変わらない笑顔で
私の頭を撫でた

『セド…』

「気持ち、伝えたかっただけだから。
君を好きになれてよかったよ」

ありがとうと彼は私に言ってくれた

『私も、嬉しかった…。
…これからも……友達でいてくれるよね?』

「もちろん!それ以上の関係でも僕は構わないけどね」

セドリックは本当に優しげな笑顔で笑った

『本当にごめんね』

「謝らないで。君が悪いわけじゃないんだから」

そう言ってセドリックは行ってしまった
セドリックが行ってしまった後も私はそこを動けずにいた
なぜだろう
自分でもよくわからないのだ


気がつけば泣いていた
彼を傷つけることは分かっていたのに
だけど私はセブルスが好きで、
でもセドリックにも幸せになってほしくて…

涙が止まらなかった

「優季…?」

現れたのはルーピン先生だった

「泣いているのかい、?」

『……、』

「セブルス…?」

『違、』

「じゃあどうしたんだい?」

ふわりと抱き寄せられれば
先生が暖かく感じて思わず涙腺が緩む

「今はたくさん泣きなさい」

その言葉に私は子供のように泣いた
セブルスのこと、セドリックのこと
今まで溜め込んだもの全部を吐き出すように






『あの…ルーピン先生』

「うん?もういいのかい?」

背中をゆっくりと撫でる手が離れていく
腰を屈めてくれる先生はとても優しい

『はい、ありがとうございました』

「それならよかった
君は笑っている方が魅力的だからね」

『もう、そんなにおだてられたらルーピン先生には
チョコレートを贈らなくちゃいけませんね』

クスクス笑っていれば

「チョコレートより君からのキスの方がいいなぁ」

なんて

『…え』

「嘘だよ」

……真面目な顔で言うから本気にしちゃった
そうだよね、……ああ、恥ずかしい

「優季?顔が真っ赤だけど…」

『だだだ大丈夫です』

「はははっ…動揺しすぎ。
……想像した?」

耳元で囁かれればびくっと肩が震える

『〜〜っ!!もうルーピン先生!』

「あぁごめんごめん、からかい過ぎたようだ」

頬っぺたをぷくっとさせるのはせめてもの反抗

「何を、している」

聞こえたのはセブルスの声で
後ろを振り返れば珍しく息を乱した彼がいた















(本当は嘘じゃないんだけどね)


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bkm
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