届かない声

あ、雪……
そっと上から降って来る雪を見ながら
もうそんな季節なんだなぁって思った

セドリックからの告白から早一週間が過ぎた
返事は決まっているのに
彼を避けてしまうのはなぜだろう

それにノーブルもまだ戻らない
やっぱり心配だけどもう少しで帰ってくるだろう

もやもやした気持ちのまま私は教授の部屋へと向かった

『スネイプ教授、』

「…あぁ、入れ」

扉が開いて私を中へいれてくれた
グレイちゃんをケージから出して
ソファへ座れば紅茶が出てくる

『セブルス、今日も採点大変?』

「ご覧の通りだ」

私たちは決まりを作った
二人きりの時は名前で呼ぶこと
嘘はつかないこと

お互いそれを守っていたし
これからもそうだと思う

『セブルスー』

「なんだ?」

カリカリと羽根ペンの音が響く

『少しでいいからこっちきてくれませんか?』

「今我輩の様子を見ていただけますかな?」

『そう、ですよね…』

私はグレイちゃんをぎゅっと抱きしめた
忙しいのはわかるけど
少しは話を聞いてくれてもいいじゃない

“優季…”

『あっ、ごめん…苦しかったよね』

“私のことより…”

ふう、とため息をつけば
グレイちゃんが彼の元へと飛びたって
レポートの上へと乗った

「こら、どかないか」

ふんと顔を背けるグレイちゃん

「…早くどけ。邪魔だ」

全く相手にしないかのように
グレイちゃんは毛づくろいを始めてしまう
それにしてもあの従順なグレイちゃんが
セブルスに反抗するなんて初めて見た気がする

「いい加減にしないか!」

そうセブルスがグレイちゃんを掴んだ瞬間
グレイちゃんはセブルスに向かって
羽根を広げて暴れ威嚇をした

“いい加減にしろじゃないわよ!
貴方、優季が話を聞いて欲しいって言ってるのに
聞いてあげないって何なの!?
優季が泣きそうなのも気がつかないって何なのよ!!”

グレイちゃんはセブルスの指を噛んだらしく
彼からは小さなうめき声がした

『グレイちゃん!』

「…っ、一体なんなんだ!!」

私の腕の中にいるグレイちゃんを睨むセブルス
彼にはグレイちゃんの声が聞こえない
だけどグレイちゃんは私の為に怒ってくれた

『グレイちゃんは悪くないんです…』

「しかし主人を噛むなど言語道断だ」

『…っセブルスに、グレイちゃんを責める資格なんてない!』

気がつけばぽろぽろと涙が溢れていた

「…、…グレイといいお前といいどうしたと言うのだ」

『……もう、いいです…』

「優季!!」

グレイちゃんを抱きしめながら
私はグリフィンドール寮へ走った

“優季ごめんね、”

『ううん、むしろお礼言いたいくらいだよ
私のためにあんなに怒ってくれて…』

“…私、初めてあの人を噛んだわ…”

『……後で謝らなきゃね』

“許してくれるかしら………?”

『大丈夫。セブルスはグレイちゃんが大好きだから』

きっと許してくれるよ、と
またぎゅっと抱きしめれば私に擦り寄るグレイちゃん

籠の中のアールを出して
二羽を窓から離せば暗闇に消えて見えなくなった















(ただちょっと不安だったの。だから貴方に聞いて欲しかった)


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