気高き主人
「あ、」

『あ、』

ホグワーツに帰ってきてから
会ってなかったルーピン先生にばったり会った

「久しぶり…だね」

『はい』

今もキスされた時のことを思い出して
気まずい雰囲気が流れる

「セブルスとはどう?仲直りした?」

『え、あ、はい』

「そんなに固くならないで。
その…キスしたことは悪かったね」

『私も気が動転してましたから…
だからもうお互いに忘れましょう?』

そうだね、と先生は笑った

「また今度皆でお茶でもしよう」

『はい!ぜひご一緒したいです』

じゃあまたと先生と別れて次の授業へと向かった

「忘れましょう、か」
そう先生が呟いたのを私は知らない







次の授業は魔法生物飼育学だった

「もう優季遅いじゃない」

『ごめんなさい、急いだんだけど…』

「まぁいいわ!いきましょ!
今日はついに一人でヒッポグリフに乗れるのよ!」

興奮気味なラベンダーを見れば
すごく楽しみにしていたことがわかる

「おーうい、皆!今日はヒッポグリフに一人ずつ乗るぞ!
教えた通りにお辞儀をして返ってきたら
乗ってもええっちゅーことだ。」

ハグリッドの周りには数十頭のヒッポグリフがいる
やはり気性も様々なのか喧嘩をしているものや
寝ているものやハグリッドに
ちょっかいを出すものもいた

「じゃあ好きなやつんとこに行って乗せてもらえ!
だめだったやつは俺んとこにこいや!」

みんな散らばってヒッポグリフへと向かう
なかなかみんなはお辞儀をしてもらえず
次第にハグリッドの周りには人が集まりはじめた

その時私は一頭だけ凛としているヒッポグリフを見つけた
その子に近けばこちらを綺麗で鋭い目こちらを見た

私はお辞儀をした
するとそのヒッポグリフもお辞儀を返してくれる

『乗ってもいいの?』

いいというように腰を落としてくれる
背中に乗り話かける

『ありがとう乗せてくれて。私は優季っていうの
なんてお名前?』

“名は、ない。好きに呼べ”

『じゃあノーブル、はどうかな?』

“気高いか”

『貴方にぴったりだと思うんだけどな』

“…いいだろう、さぁ行くぞ”

ノーブルと仲良くなるのをハグリッドは見ていたようで
理想は私とノーブルぐらい、なんて皆に話していた
恥ずかしいからやめてハグリッド…


大分高くまできてホグワーツの周りを回旋しながら
数分間の空中散歩を楽しんだ

帰ってくれば次はロンが乗るようで
ノーブルにお辞儀をした
だけどノーブルは許可をしなかった
だけど私には嘴を撫でろとねだった

『どうしてロンを乗せてあげないの?』

ノーブルの嘴を優しく撫でながら聞いてみる

“あいつは私を恐れている
そんな腰抜けを乗せる気はない”

はっきりと言い放てば翼を大きく広げ大きく鳴いた

「優季!危ねぇ、離れろ!!」

ノーブルの鳴き声に
ハグリッドが慌てた様子でこちらに叫ぶ
それにつられて皆にも悲鳴や焦りの色が見えた
でもノーブルは怒っているわけじゃない

『ハグリッド、大丈夫』

「駄目だ!早く離れ、」

その時気ぐらいの高いノーブルが私にお辞儀をした
私がしていないのに、だ

“優季と言ったか。
お前は私にも畏れをなさず堂々と向かってきた
お前は私が仕えるべき主人に相応しい”

「こりゃたまげた……」

どうなってるの?
桜葉は何したんだ?
大丈夫なのかしら?

あちこちからそんな言葉が聞こえる

『友達ではなくて?』

“そうだ”

『ノーブルがそうしたいなら私はいいよ』

“さすが、我が主人だ”

ノーブルを撫でれば私に擦り寄ってくる
ハグリッドもびっくりするくらいのことをした私は
後で皆から質問の嵐にあうのだった

















(優季は強く優しく美しい私の従うべき主人だ)


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